1) スイスの中のイタリア / カンピオーネ・ディタリア
2) 吊り構造の大空間 / 公営カジノ Casino` Municipale


カンピオーネ・ディタリアの新しいカジノ




中央ブロックのファサード


ルガーノ湖のほとりに来年オープンする,新しいカジノを見に行く機会があり,建設中の現場を訪れた。

設計は,近年イタリア国内の大プロジェクトを数多く手掛けるマリオ・ボッタだ。

カジノがあるカンピオーネ・ディタリアというまちは,スイス領域に存在する,イタリアの飛び地だ。

面積たった約1.7ku。この小さなまちの存在を,これまで知らなかったのだが,調べてみるとなかなか興味深い。

通貨,電話回線,郵便局などはスイスのものが使用され,生活費はスイスの物価に基づき少々割高だ。しかし,あくまでもイタリア共和国に属している。

こうした矛盾から,住民や企業は税制面で優遇されており,納める税金は一般的イタリア人の約半分という。

この辺りの湖周辺は,別荘が多く点在する有名な避暑地だ。1936年からあるカンピオーネのカジノは,裕福層のちょとした遊び場となっている。

公営カジノがまちの主な収入源となり,人口約2,500人のうち約500人がカジノで働いている。

説明の中で,「カジノのオフィス=市役所だ」と笑って言っていたが,あながち冗談でもないのだろう。

イタリア国内には,他にアオスタ,サン・レモ,ヴェネツィアの3カ所に公営カジノがあるが,カンピオーネほどギャンブルの収益に頼っているまちはない。

近年,スイスに属する近郊のまちに,アウトレットショップに併設したカジノがオープンし,人気を集めているらしい。

新しいカジノ建設は,まさにまちの命運をかけたプロジェクトなのだ。


スロットマシーンが置かれるプレイルーム




フランス式ゲームが置かれるプレイルーム




吊り構造の無柱空間

新しいカジノは,湖に面した崖地に建てられている。

マリオ・ボッタらしい,量感的でシンボリックなファサードが湖に向かってそびえている。

船でカジノへ向かう人たちの目印となる景観を目指したという,

建物は,大きく3つのブロックに分かれている。

中央ブロックは,地上10階建てで,カジノの主要機能,レストラン,映画館等が入る。

崖の傾斜に沿って,段状になった左右のブロックには,市役所や設備スペース,倉庫等が置かれる。

傾斜地という難しい地形に対し,建物への入口は,湖側の1階部分と,山側の7階部分に設けられた。

7階の入口を入ると,湖のパノラマを見渡せる,半屋外のエントランス広場に迎えられる。

周囲には店舗,バール,映画館等かれ,カジノ以外の客も楽しめるようになっている。

この建物の最大の特徴は,広場の上部に浮かぶ吊り構造のボックスだろう。

レストラン,イベント会場となる2層の階は,無柱の大空間を実現するため,鉄骨トラス梁からの吊り構造が採用された。

敷地内に架構用のスペースがないことを考慮し,施工手順と工法が工夫されている。

内装等にも,プレファブリケーションの部材が多用されており,僻地での品質管理に対応したものと思われる。

工事は最終段階に入り,来年春のオープンが目前に迫っている。

今度はぜひ一度,最新カジノでのゲームを体験してみたいものだ。

マリオ・ボッタのその他の作品集

Mario Botta: Light and Gravity
Architecture 1993-2003

 関連サイト

 → カンピオーネ・ディタリア新カジノ建設工事のサイト


 → マリオ・ボッタのサイト