1 アルプスの城塞都市 / ロヴェレート Rovereto

26 July 2003 vol.1 vol.2



戦没者納骨堂」 sketch by Shinya


噴水のある広場
ミラノからミュンヘン行きの列車に乗り,2時間半ほどで,ロヴェレートの駅に到着した。

ロヴェレートは,アルプスの山々に囲まれた,自然豊かな小さなまちである。

現在の穏やかなまちからは想像できないが,中世の昔から城塞都市として栄えた場所である。

第一次世界大戦では,まさに戦場の場となり,多くの戦死者を出し,あちこちが爆撃で破壊された。

風光明媚で静かなまちであるが,戦争があった事実についても,淡々と語りかけてきた。

2 円形広場の美術館  / トレント・ロヴェレート近現代美術館 MART


エントランス広場
2002年12月,この小さなまちに,本格的な近現代美術館がオープンした。

イタリアには,ルネッサンス絵画・彫刻の美術館は数限りなくあるが,近現代アート専門の美術館は,珍しい。

1900年代に発展した,イタリア未来派の絵画や彫刻が中心となっている。

美術館設計は,スイス出身の建築家マリオ・ボッタ。

道路に直接面しておらず,住宅の後ろに隠れるようにして建っている。

大通りから一直線に伸びるアプローチは,自然と来場者をエントランス広場へ導いてくれる。

ガラスの大屋根
エントランス広場に入ると,広場を囲む円形の建物と,ガラスの大屋根のスケールに圧倒される。

広場の直径は約40m,大屋根までの高さ25mである。

時間の経過とともに,刻々と変化する影が美しい。

中心の水盤を囲んで,整然と立つ20体の彫刻が,訪問者を迎え入れる。

広場に足を踏み入れた途端に,現代アートの世界に入り込んでしまったような感覚に襲われた。

まさに,建築家マリオ・ボッダの策略にはまったのだ。
■設計者
   Mario Botta 
(マリオ・ボッタ)
■所在地
  Corso Bettini, 43
■開館時間
  火〜木 10:00-18:00 
   金〜日 10:00-21:00 月休
ガラスの大屋根は,一部切り取られたような形状だ。

頂部は穴が空いており,雨が降ったら,水盤に降り注ぐようになっている。

ローマのパンテオンを思い起こさせる。

屋根を支える鉄骨が,少々無骨だが,広場にうつる影を見ていると,その演出を計算した上での形状に思われた。

3 戦争博物館となった城 / Museo Storico della Guerra


ヴェネト城
1416年に建設されたヴェネト城は,川沿いの小高い洲の上に建っている。

城のテラスからは,まち全体が一望できる。

現在は,戦争博物館となっており,大砲や爆弾などの使用された武器が展示されている。

城の基礎を支える岩盤が,一部くり抜かれ,通路状の展示空間となっていた。

当時は,城からの逃げ道として掘られたのであろうと想像される。

外部は40度近いにも関わらず,中は,ひんやりと湿った空気に包まれていた。少し肌寒いと感じたほどである。

大砲や戦争当時の写真が並び,無言に迫ってくるようであった。

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