4 フィアット社の自動車工場 / リンゴット Lingotto

2 August 2004

vol.1 vol.2

全長500bの長い建物




コルビュジェも絶賛したスロープの見上げ




新設されたVIP用の会議室とヘリポート
1899年,自動車メーカー・フィアット社が設立された。

フィアット社で働くため,イタリア全土から大勢の人々が集まり,トリノは工業都市として大きく発展した。

そうした経済成長の象徴ともいうべき建物が,フィアット社のリンゴット工場だ。

リンゴット工場は,アメリカ,フォード社の大量生産方式をいち早く取り入れて,1915年,ジャコモ・マッテイ・トゥルッコの設計によって建てられた。

アメリカのように広大な敷地はないという厳しい条件のもと,考え出されたのが,工場を上下に積層させてしまうという画期的な計画だった。

両側に螺旋スロープを備えた5階建ての工場では,下階から上階に向かって,自動車を組み立てていき,最後は屋上にある約1qのサーキットコースでテストを行う。

生産の合理性を追求した結果生まれた,無駄のない鉄筋コンクリート造の造形は,力強い。

1982年に役割を終えたリンゴット工場は,その社会的,歴史的価値が認められ,保存して活用されることとなった。

コンペの結果,設計者に選ばれたのはレンゾ・ピアノ。

全長507mの工場は,国際見本市会場,ショッピング・センター,ホテル,コンサートホール,大学,美術館などの巨大複合施設に生まれ変わった。

最上階に載せられた「バブル(La Bolla)」と呼ばれるガラスの会議室とヘリポートが,外観では唯一,新しく生まれ変わったことを主張している。

ヘリコプターで駆けつけた世界のVIPが,空に浮かんだガラスの会議室に集う。

イタリアの戦後復興の奇跡を体現してきたフィアット社ならば,こうした映画のようなセットがあっても良いように思う。

5  オリンピック・パヴィリオン / アトリウム Atrium


三角形の断面をもつパヴィリオン


明るくポップな内装
2006年,冬季オリンピックの舞台に選ばれたトリノは,現在,急ピッチで整備が進められている。

トリノ市とオリンピックの広告塔となるパヴィリオンが,ソルフェリーノ広場に出現した。

設計は,カーデザインなどで有名なジウジアーロ。

フィアットのまち,トリノならではの人選だ。

鉄骨とガラスのパヴィリオンは,2列に並ぶ街路樹をよけるように,三角形の断面となっている。

細長い建物には,トリノの都市計画や地下鉄の新設,オリンピック施設の計画などが展示されていた。

明るくポップな内装で,バールなども併設されているので,子供から大人まで,ゆっくりと楽しめる。

時代と共に変わり続けるトリノが,オリンピックを契機に,どのような姿を見せるのか,楽しみである。

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