「6月の雨」 2003.6.16

         不意に降り出した
         雨に濡れながら
         川沿いの坂道を下る

         10円玉を握りしめて
         あなたの声を聞くために
         電話ボックスを探す

         とうに点滅している
         アンバー色の信号を見上げて
         ゼブラを斜めによぎる

         後ろから通り過ぎていく
         車のヘッドライトが
         煙幕のような雨を照らす

         いつしか走り出した私の足下で
         水たまりに映った街灯が
         無数に散らばる

         ただあなたの声を聞くために
         雨の中を走る

         やわらかで
         残酷な
         あの6月の恋