「ツキノモノ」 2005.7.14
月に一度訪れるその人は
いつも決まって申し訳なさそうに腰をかがめ
唇だけを器用にVの字にひん曲げて
やってくる
こおんばあんわぁぁぁ
今月もよおろしくお願いしいまあす
私は他の誰にも見せたことのないような
不機嫌な眉毛のままで
ろくな返事もせず
今月分のタマゴを渡す
月にひとつだけ産み落とす私の小さなタマゴを
その人は大して何の感慨もなさそうに
片手でヒョーイと受け取ったかと思うと
半透明のビニール袋の中にガサガサと放り込み
あとはサッサと出て行った
でわぁぁ
またあ来月うにぃぃぃ
うれしいのやらさびしいのやら
私はその人の後ろ姿をわりといつまでも見送る
角を曲がって見えなくなったら
そしたら私はため息をついて
孵化することのないタマゴを
また
身ごもる