はじめに

2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震はまだ記憶に新しい。
東海地方も南海沖地震などいつ大震災に見舞われてもおかしくない地域です。
当然のことですが東北、熊本でも人だけでなく動物たちも被災し不自由な生活を送っています。
私も被災地と関わってきましたが、現地の獣医師達から
『同じ失敗をしないでほしい』と強く訴えられています。
平穏な毎日で忘れがちになるります準備を進めておくことが重要です。
 

同行避難について

 住んでる家が倒壊などでやむを得ず避難所生活を余儀なくされた場合、
東日本大震災以後環境省は飼育動物との『同行避難』を推奨しています。
これに習い名古屋市も各避難所での同行避難を基本として準備を進めています。
名古屋市獣医師会としても東北・熊本など被災地の獣医師からいろいろなアドバイスを受け
名古屋市と対策会議を進めていますがまだ課題は山積しています。
 
 東北では動物との同行避難を行政が想定しておらず混乱しました。
熊本では東北の教訓を得て獣医師会と行政が協定を結び、
同行避難も行政指導の下に認められていましたがあちこちで揉め事が起き機能しませんでした。
これは、行政は把握していても避難所を管轄する自治体が同行避難について理解していなかったためです。
 
 基本的な事として『避難所とは』これは『避難者の自治により運営される』ということです。
簡単にいえば『避難した人々が協力し運営していくものということです。
ですから現場を仕切るのは行政ではなく自治会です。
国や市が同行避難を推奨していても自治会や多くの避難者が、
『動物なんてとんでもない!』となった場合に行政は口出しできません。
熊本からの教訓は、こうした環境省の決定を市が把握していても、
実際に避難所を運営する自治会には全く伝わっていなければ意味がないということです。
 
 現在名古屋市といかに各避難所に同行避難に対する理解を促すかを検討しています。
これは、私の私見ですが行政といっても国→県→市→区と違う組織の縦割りであるため、
大きな都市になればなるほどフットワークは鈍くなります。
従って自治会レベルで平時のうちに何らかの形で地域の人々に
同行避難について理解してもらう努力が必要と思われます。
会合があるなら議題に挙げる、回覧板で定期的にまわすなど、
さまざまな方法で周知していくことが大切です。

 避難所は、『避難をすれば行政が面倒をみてくれる場所ではなく
避難してる人々が自ら助け合い運営していくもの。
避難した人たちが受け身であってはならない。
自分自身は自らで守る主体性が最も大切である。』ということを認識しなくてはなりません。
準備は平時に行っておくことが重要です。
先例から見ても有事の際では興奮状態であるため話し合いは困難です。
平穏な時に理解してもらう事が大切です。

 私は獣医師で動物サイドに立ってものをみます。
しかし、『動物も家族なんだから!』という自分の権利を振りかざすとうまくいきません。
地域の自治区であることを認識してください。
実際にあった例で、『この子は家族ですし人には危害を加えませんから!!』と
ルールを守らず人間のエリアに小型犬を連れてきてしまった事がいくつか見られました。
重度の動物アレルギーの子供をもつ親や動物が苦手で動物がいるだけで
血圧が上がってしまう老人からすれば、これは受け入れられないことです。
私自身も重度な動物アレルギーの子供を持っています。
私の隣にそのような人が来て、話し合っても理解してもらえない場合、
子供を連れて避難所を出るしかありません。

 大切なことはお互いを思いやり皆で落としどころを考えることです。
自らを守るためにはルールだけではうまくいかないようです。
各避難所で避難している人々が行政の決めたルールを基本に、
グレーゾーンを考えていくこと重要かと思われます。
もちろん、我々も行政と協議を重ねて各自治会に理解を求める活動は今後も続けていきます。


同行避難で準備するもの

・飼育動物をケージに入れて避難所に入る
・5日分水・食料、ペットシーツ、排泄物用ビニール袋、ケージ、リードを持参
・人と動物は同室避難はできない、動物は指定された場所でケージに入れて生活する
・動物アレルギーの人や極端に苦手な人もいることを理解する
・避難所で他人や動物に迷惑をかけないよう日頃から躾をしておく
   (例:クレートトレーニングなど)

この他にも細かい注意点はありますが基本的に上記ことが基本です。 


マイクロチップとは(重要性)

 マイクロチップは皮膚の下に数㎜のチップを注射器で埋め込むことで、
もし動物とはぐれても行政や獣医科病院に保護された場合リーダーで個体識別が可能にするもの。
簡単に言えばマイクロチップを装着し登録することで、
はぐれてもすぐ飼主を特定することができるシステムです。
 災害時はぐれてしまった場合に探し回ることで二次災害の可能性もあります。
マイクロチップを装着することで安心して待つことができます。
東北では保護された動物で装着が確認されたのは一頭だけで、
獣医師達は『マイクロチップを入れてくれていたら』とつぶやいていたのが印象的でした。
行政から補助金もでますので是非ご検討ください。

 名古屋市 

絆カード:避難所での受付でスムースになるので記入して避難グッズと一緒にしておく