2006年1定代質原稿(子どもの権利条例について)

 次に、子どもの権利条例について3点おうかがいします。

 アフリカや北朝鮮の例をひくまでもなく、人権に対する意識の醸成がなされていない発展途上の多くの国々や、内紛などで政治的に不安定な地域などでは、子どもの権利についても、未だに多くの課題が残されています。我が国におきましても、イジメや虐待に遭って、人間としての根本的な尊厳が侵される子どもの事件が後を絶ちません。したがいまして、政府が国連で採択された子どもの権利「条約」に批准したことついては、その意義を疑うものではありません。

 しかしながら、本市の行政において、子どもの権利を条例化することが得策なのかどうかにつきましては、多くの懸念材料があります。

 今、学校教育において、また、家庭内教育においても、もっとも問題となっているのは、子どもたちのシツケができていないことであります。学級崩壊やイジメ問題などの根底には、このシツケの問題があります。「他人を敬う心」とか「他人を思いやる心」などを教えることがシツケの基本なわけですが、ここの部分ができていない子どもがあまりにも多すぎることで、教育現場に多くの問題が発生しています。そして、このシツケをきちんと行うことと、子どもの権利を尊重することとは、教育の現場においては、なかなか両立しにくいのではないかと思われます。傍若無人に暴れ回るような子どもを相手にシツケを行おうとしている者に対して、その横から子どもの権利などの話を説いて聞かせることが、本当に得策なんでしょうか? 確かに、そこには、シツケという名の下に虐待を行う保護者もあります。が、その手の保護者に対しては厳しい制裁措置や、親身になって話を聴いてくれる相談相手こそが必要なのであり、条例などで対処するのが的を得たことなのかどうか、判断に苦しみます。

 しかも、今の日本では、虐待などを行う保護者よりも、もっと大きな問題を抱えた保護者が目立っております。それは、子どもを甘やかすだけ甘やかし、子どもの言いなりみたいになって事の善悪も見境がつかなくなっているような保護者であります。そういう保護者は、我が子可愛さに目がくらんで、社会通念上通るはずもないような主張を周囲に押しつけたりしているわけで、この手の保護者に「子どもの権利」などという話を吹き込むと、その権利を盾にとって何を言い出すかわからないわけです。

 また、この子どもの権利条例の制定において、もっとも大きな影響が見込まれるのが、「子どもの意見表明権」であります。世間には、偏ったものの考え方をする人がたくさん棲んでおりまして、そういう人たちが自分たちの主張を「子どもの意見」という形にして打ち出してきたときに、様々なトラブルが発生するのではないかと心配されます。

 これらの点を踏まえますと、今、この札幌市において、子どもの権利などを条例化する必要がホントにあるのかどうか、大いに疑問であります。

 そこで1点目の質問ですが、本市において、虐待等のことで、生存権が侵されているような子どもというのは、何人くらいいるのでしょうか? 表に出てこない事例も多数あって、正確な数字は出てこないでしょうが、当局が把握している数字でけっこうですから教えていただきたいと思います。また、それらの子どもたちは、条例があれば救済できるのか、条例がなければ救済できないのか、そのあたりの事情も併せてお伺いします。

 2点目の質問としては、条例の名称についてお伺いします。

 我が会派としましては、百歩譲って、子どものための条例をつくるのは「良し」とするとしても、「権利」という言葉は不要であろうと思います。権利というのは、非常に強い言葉でありまして、拳を握って立ち上がり、邪魔な相手を糾弾するときに使う言葉であります。弱い立場に追いやられて生存権を侵されているような子どもを救済する、というのであれば、「子ども保護条例」というような名称で十分だと思うわけですが、この条例の名称に「権利」という言葉が必要なのかどうか、必要だとするなら、どういう理由で必要なのか、それらの点について、上田市長のご見解をお伺いいたします。

 3点目の質問としては、指導力不足教員のための対応策についてお伺いします。

 先にも申し述べましたように、子どもたちのシツケに苦慮している教員、特に指導力の不足した教員にとっては、子どもの権利などを改めて意識したりすると、肝心な指導ができなくなるのではないかと思われます。また、子どもの権利などを条例で銘文化しますと、その条文を拡大解釈して法外な要求をたたきつけてくる保護者なども現れるはずで、指導力の不足している教員は、そういった局面をうまく収められないのではないかと思われます。そういった状況を想定した上で、本市としては、指導力の不足した教員に対して、どのような指導をするつもりなのか、研修制度などに新たな取り組みを考えているのかどうか、お知らせいただきたく存じます。