2003年第2回定例議会代表質問原稿

質問者・横山光之 

質問作成・横山 宮村 勝木 山田 高橋(克) 細川 小須田

編集・横山 勝木

 それでは、自由民主党を代表いたしまして,11項目にわたり質問させていただきます。質問に入る前に,まず二度にわたる長い選挙戦を戦い抜き,見事な勝利をおさめられました上田新市長に,お祝いを申し上げますとともに,今後のご健闘を期待いたします。

 では、まずはじめに、市長の基本姿勢について2点お伺いいたします。

 上田新市長の公約には、市民参加による対話ですとか、市民自治による街づくりの理念などといった言葉が綴られております。私も、市民との対話については、大賛成であります。市民の意見を政策に反映するための努力は、我々選挙で選ばれた立場の者にとっては、当然のことであります。しかし、その対話のシステムをどのように作り上げていくのか、という点には、一抹の不安感を抱きます。今の札幌市に求められているものは、強いリーダーシップであります。政策実現のために市長として指導力を発揮して、果敢に実行する勇気こそが今の札幌市に求められるところであると思います。

 市民との対話は大切でありますが、180万を超える全札幌市民の声を全て聞き届けることは困難きわまりないわけで、声を大きく張り上げた団体の要求にばかり応ずることとなっては、元も子もありません。民間から出馬した上田市長の場合、支援を受けた各種NPO、市民団体各種労働組合、などへの配慮はどうしても避けて通ることができないだろうと思われますし、そこに配慮しすぎて、声を出さない多くの市民との均衡を欠いた、いびつな政策決定がなされるのではないかという懸念があります。

 したがって、対話行政にも節度を持って取り組むべきであると思うのでありますが,その対話行政をどの様な形で進めていこうとしているのか,まず最初にお伺いいたします。

 2点目として,これは是非お聞きをしておきたいのでありますが、市長は、周辺事態法第9条「自治体・民間への協力要請」による有事における協力体制に反対する旨、表明しておられます。

 最近の国際情勢を踏まえますと、いつどこで何が起こるかわからない状況です。自分の国さえ安全ならそれでいい、という考え方では、自分の国の安全を保てなくなってきています。市長は周辺事態法第9条「自治体・民間への協力要請」による有事における協力体制に反対する旨、表明しておられます。我が自民党としては、この一件は見過ごすことのできないことであります。国の安全を守っていくための最低限の協力を地方自治体と国民に求めていることに対して、道都の市長が反対の意志表示をされることは、道内の市町村長や道民にも大きな影響を与えるものと言わざるを得ません。

 そこで、改めて有事の際の協力体制についての考え方と、国と地方との関係のあり方について、市長の見解をお伺いいたします。

 次に、教育問題についてお伺いします。

 はじめに、4・6協定についてお伺いします。

 4・6協定は、「教職員の給与に関する特別措置法」いわゆる給特法の施行を背景に、昭和46年に道教委と北教組との間で結ばれたものです。

 この給特法は、教職員の時間外手当の支給を廃止し、その代わり給与の4%を調整額として支払うという内容です。同法の施行により、教職員は時間外手当を得られなくなりました。そこで、北教組は、時間外勤務に一定の歯止めをかけようと、道教委との間で、地方公務員法第55条第9項に基づく協定を結び、13項目からなる勤務に関するルールを定めました。その内容は、教員が実家へ帰省したようなケースをも自宅研修として扱うとか、教員の勤務条件に関わることは、全て北教組との交渉事項とするなど、きわめて不当なものとなっております。

 教職員組合は、この協定に基づいて、学校管理上の問題は、管理運営事項をも含めて全て交渉事項であると主張していますが、地方公務員法第55条第3項では、「地方公共団体事務の管理及び、運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない」と規定しており、4・6協定は、明らかに法令に違反するものであります。

 そこで、道教委は、平成13年2月、北教組に対し、協定書の中で時間外勤務の代休措置等、明らかに法令等の趣旨を損ねる部分の削除を提案し、3月に協定書の一部削除を通告したのであります。

 同時に、文部科学省は、学校教育法施行規則の一部を改正し、職員会議に関する規定を新設し、「職員会議は、校長が主催する」ものとしました。それまでは、職員会議についての法令上の根拠があまり明確でなく、職員会議を一部の組合活動家が牛耳るような状況が多発し、校長の指揮命令権の及ばない意志決定機関であるかのごとく運営されるなど、様々な問題点が指摘されていました。改正された規定においては、職員会議は、あくまでも校長の職務遂行上の補助機関にすぎないことが位置づけされました。

 札幌市教委は、道教委の協定書の一部削除の通知を受けて、その内容について、校長説明を行い、周知を図りました。これにより、校長のリーダーシップの下に、学校現場が正常化に向けて大きく前進したところであります。

 上田市長は、かつて、北教組組合員1,529名が北海道、札幌市、他、116市町村を相手取って提起した超過勤務手当約3億円の支払いを求める訴訟の原告代理人のひとりでありました。現在は、運命のいたずらとでも申しますか、被告である札幌市の市長の立場にあるわけであります。

 そこで質問ですが、

 まず、1点目として、本市学校教育の正常化に大きく貢献した「4・6協定一部破棄」について、市長は、どのようにお考えか、お伺いいたします。

 2点目として、市長は、今でも、かつての北教組超勤訴訟の原告代理人を勤めた折の思想信条にしたがって超過勤務手当を支払うべきとお考えか、お伺いいたします。

 次に、国旗・国歌についてお伺いいたします。

 平成12年9月18日、当時の本市教育長・山恒雄氏は、国旗・国歌について、全市立学校長に対し、卒業式や入学式で国旗の掲揚と国歌の斉唱を実施するよう、職務命令を発し、違反者には、地方公務員法上の懲戒処分が科されることとなりました。

 当時、本市の国旗・国歌の実施率は全国の都道府県・政令都市の中で最も低く、平成12年の中学校の入学式での国歌斉唱率は13.3%と、ほとんどの学校がやっていないに等しい状況でした。山教育長は、

 「国際都市を標榜する札幌市にとって、誠に恥ずべき結果である。」「国際社会にあっては、自国と他国の文化と伝統の違いをお互いに尊重し合うことがなによりも大切である。」「各国の文化と伝統の象徴が国旗や国歌である。」「本市の教育において、自国の国旗・国歌も知らず、また、他国の国旗・国歌を尊重することもできない子どもたちを世に送り出しているとすれば、札幌市は市民に対して責任ある教育を放棄していると言われても返す言葉もない」

と述べています。

 また、当時の本間英昭教育次長は、経過説明を行い、

 「まさに、国旗・国歌の問題は、正常な学校運営ができているかどうかのバロメーターであり、ひとつのシンボルとして考えるべきである」「これは、決して、思想・信条の問題ではない。法令のひとつである学習指導要領に基づいて学校教育を行うことは、公教育としての公平・公正・中立性を保つことである」

と述べています。

 そして、最後に、牧口準市教育委員長は、

 「私は、本市の国旗・国歌については、学習指導要領に沿った指導を早期に行うべきであると、かねてから考えていた。今回の職務命令は、むしろ、遅きに失した感があるとさえ思っている」という内容のコメントを述べています。

 以上、平成12年に本市の教育長が職務命令を発した経過について述べましたが、今日、札幌市立学校の国旗・国歌の実施率は、ご承知の通り100%であります。

 平成12年9月18日は、「札幌市の学校教育正常化にとって記念すべき日」となったのであります。本市教育委員会の勇気と英断に心からの称賛を送るものであります。市長は、先の記者会見で、この件について、「思想・良心との兼ね合いから、国歌の斉唱を強制するのは、疑問である。」と話しておられます。

 そこで、質問であります。市長は、これまでの本市の教育委員会の方針について、異を唱えるおつもりなのか、そのお考えをお伺いいたします。

 それでは、次に、住民基本台帳ネットワークについて3点お伺いします。

 上田市長は、この国家プロジェクトである住基ネットワークへの登録を選択制にする、という声明を市長に当選するやいなや打ち上げられましたが、この件には大きな問題点があります。

 選択制をとった場合、本人確認ができるものと、できないものとがネットワーク上に混在することとなり、本市住民の本人確認情報の信憑性が担保されなくなります。さらに、市町村の区域を越えた住民基本台帳事務や、国の機関などへの本人確認情報の提供において、総合的な効率性を阻害するばかりでなく、全国ネットワークとしての機能不全をまねくこととなります。したがって、国としては、選択制や、任意性は一切認めていないところであります。

 にもかかわらず、選択制を採用した場合、これは、「住民基本台帳法 第30条の5」に対する法律違反となります。すなわち、本人確認情報の都道府県知事への通知義務を怠ることになるわけです。

 そこで、1点目の質問ですが、弁護士であり、法律家である上田市長としては、当然このことを理解しておられると思うのですが、この法律違反について、どのような見解をもっておられるのか、お伺いいたします。

 2点目の質問としては、選択制が好ましい、とする論拠についてお伺いします。

 この国家プロジェクトは、住民票の広域交付ばかりでなく、パスポート申請にともなう住民票の提出が不要になるなど、246項目にわたる広範囲かつ多岐にわたる利便性が市民に供与されるよう設定されたものでありますし、課題とされていた個人情報保護5法案の件も一件落着しております。この間の経緯を申し述べますと、今年5月23日に法案が国会を無事通過し、30日には公布の運びとなりました。これによって個人情報の漏洩については、大きな歯止めがかかったわけでありますし、さらに、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律も制定され、懸念されておりました行政機関内における、または、行政機関同士における、個人情報の不正利用については、2年以下の懲役または、100万円以下の罰金が科せられることとなりました。

 この一連の流れを受けて、この7月14日には、ネットワークから離脱していた東京都の中野区が、再接続の方針を固めました。

 中野区は、昨年9月に、個人情報の保護に不安があるとしてネットワークから離脱したわけですが、その後、接続の条件であった個人情報保護関連5法が成立したことと、国の本人確認情報の保護措置が確認できたこと、そして、今月10日に区独自の住基ネット条例を制定したことなどから、再接続のための条件整備がなされたと判断したようです。

 話題を振りまいた横浜市については、ネットワークへの接続に関する手続きを県との間で交渉中だったわけですが、その横浜市も、この6月9日には接続を完了しており、全員参加の方向で動きだしております。

 にもかかわらず、すでに接続を完了し、稼働を開始している札幌市がいまさら選択制を採用するというのは、時代の流れに逆行する形になるわけで、それには、それなりの論拠がなくてはなりません。

 そこで、選択制を良しとする論拠をご説明願います。

 3点目の質問としては、この住基ネットワークによる利便性の供与を希望している市民の立場についてお伺いします。札幌市が、今、ここで選択制を採用するとなると、札幌市民全員が住基ネットワークによる利便性を供与されなくなる可能性があります。横浜市の場合は、6月9日まではネットワークへの接続を完了していなかったわけであり、これから全員参加の方向で段階的な処置を行っていく、という前提があるために「参加者については、住基ネットにともなうサービスを受けられる」ことになりましたが、これまで全員参加の形をとっていた札幌市が、今ここで選択制を採用したならば、全員参加を目指すという話にはなりません。となると、住基ネットを所管している総務省としては、「札幌市は、このプロジェクトに対して反旗をひるがえした」という受け取り方をします。実際、これは、そういうことなわけです。そして、反旗をひるがえしておきながら、「希望者については、他都市と同様のサービスを提供してください」とお願いするというのは、あまりにも虫のいい話になるわけで、総務省がその虫のいいお願いを受け入れるわけがありません。そうなると、住基ネットワークへの参加を希望している市民までもが、246項目にわたるサービスの対象外とされてしまいます。

 上田市長としては、この、希望しているにもかかわらずサービスを受けられなくなる市民の立場をどうお考えなのか、この点についてのご見解をお伺いいたします。

 次に、財政問題についてお伺いをいたします。

 先日、いわゆる「骨太の方針第3弾」が閣議決定をされました。この中には、国と地方の税財政制度のあり方を改革するための「三位一体改革」について、その展望と今後3年間に実施していく具体的改革行程が明らかにされております。

 その内容は、国庫補助負担金は概ね4兆億程度を廃止・縮減するとなっており、地方交付税の財源保障機能については縮小方向が打ち出されております。税源移譲にあたっては、個別事業の見直し・精査を行い、補助金の性格等を勘案しつつ8割程度を目安として移譲し、義務的な事業については徹底的な効率化を図った上でその所要額の全額を移譲するというものです。 

 歳入を縮小される地方自治体にとっては、縮小された額と同額の税源移譲があってしかるべきなのですが、この度の三位一体の改革では、そうなってはおらず、地方にとっては由々しき問題だと私は考えます。

 本市の財政状況は財政力指数を見ましても政令指定都市の中では下から2番目と極めて低く、財政基盤は脆弱であります。そのために、全国の市町村の中では一番多く地方交付税をもらってるほどでありますし、財源の確保に努めようとしても、なかなか、一朝一夕には実現できるものではありません。

 また、バブル経済崩壊後の国の経済対策などに合わせて実施してきた都市基盤の整備や、国・地方合わせた財源不足への対応のために市債を活用してきたことにより、近年、一般会計の市債残高が急増しております。これまでの財政運営の工夫で、償還の際には交付税措置のある市債を多く活用してきたとはいえ、全会計合わせて2兆円を超える長期の借入金を背負っているのは事実であります。

 さらに、本市財政のマイナス面での特徴となっている、双子の赤字と言われるものがあります。それは巨額の累積欠損金を抱える地下鉄事業と、累積欠損金ほどではないけれども、毎年、一般会計から保険料引き下げのために多額の繰り出しを必要とする国民年金保険会計の存在であります。いずれも非常に大きな財政上の圧迫要因であり、本市の財政運営におけるアキレス腱であります。

 昨年発表されました「中期財政見通しと今後の財政運営の考え方」の中でも、市税を始めとした一般財政の伸びが期待できない中にあって、生活保護費などの扶助費や公債費が増え続ける見込みである事から、今後とも相当額の歳入不足額が発生することが明らかにされております。

 そこで質問でありますが、

 市長は、就任から1ヶ月半が過ぎたわけでありますが、内憂外患とでもいえる、現在の札幌市が置かれている財政状況について、どのような認識をお持ちなのかお聞かせください。また、今後4年間の財政運営にあたっての基本的な考え方についてもお聞かせください。

 次に、行財政改革について2点お伺いします。

 第1点目として、200億円の経費削減についてお伺いいたします。

 市長は,選挙期間中の公約における市役所改革の一つとして、4年間で200億円の経費削減を図ると訴えてこられました。その手法としては、定年退職による職員の自然減に対し、補充を減らすことで組織のスリム化を図り、さらに民間にできる事は民間で、ということだそうですが、この4年間で200億という数字の根拠については、どうももの足りない感じを受けます。

 経費削減ということでは、桂前市長も、積極的な姿勢を見せておられました。事業再評価による不要不急の施策の見直しや,組織のスリム化による人員の適正化,そして民間委託の拡充などを確実に実行し,この5年間で363億円の経費節減を実現してきました。

 この実績を踏まえると、市民派を標榜するわりには、上田新市長の公約には、さほどのインパクトが感じられません。削減というからには,もっと大胆で積極的な数字を掲げるべきではないでしょうか?

 200億円という数字につきましては、きわめて控えめな印象を受けるわけですが、それでも、市労連をはじめとする各種労働組合からは、この件に関する問い合わせが相次いだと聞いております。上田市長としては、それらの支援団体への遠慮もあって、あまり大胆な金額は打ち出せなかったのではないか、という懸念があります。

 本市を取り巻く経済状況を考えれば、市民の立場からは,しっかりした行財政改革を断行し、思い切った経費節減を実現することこそが急務と言わねばなりません。

 この点についての市長のご所見も併せてお伺いいたします。

 2点目の質問としては、敬老パスについてお伺いします。

 昭和50年に市バスと市電からはじまったこの制度は、現在では、地下鉄、民間バス4社も含めて、市内乗車料金が無料になるため、お年寄りに大変喜ばれ、札幌市民に、定着した制度であります。敬老パスのおかげで、市内のどこへでも、気軽に出かけられる、それが、精神的にも肉体的にも健康に良く、医療費の抑制につながっている、とお年寄りから高く評価されています。

 上田市長は、市政方針の「さっぽろ元気ビジョン」で、市役所改革を唱えておられます。こ中の行財政計画のひとつとして、「たとえば、すこやか検診や、敬老優待乗車証など行政のサービス水準と市民負担のあり方について、市民と十分な議論を行いながら、検討を進めて行く」と述べておられます。 

 そこで、質問であります。新聞報道では、上田市長は、厳しい財政状況の中、敬老パスの交付をこのまま続けるかどうか、市民に問題提起することを決めたとのことであります。市民にとっては、これほど身近なテーマはありません。かつての消費税導入のときを思い出します。政策の優先順位を選択する上で、大きな試金石と言えると思います。この件に関し、市長のお考えはいかがかお伺いいたします。

 次に、北海道住宅供給公社問題についてお伺いします。

 同公社は、昭和40年11月30日に、北海道が設立団体となって発足しました。出資金3千万円の内訳は、道が2,400万円、札幌市が600万円、となっておりますが、札幌市は、設立団体ではなく、公社に対しては、北海道のように監督権などの特別な権限を持っていません。しかしながら、本市は、公社の事業継続のための資金30億円を毎年貸し付けている他、金融機関に計22億6千万円の損失補償を行うなど、公社の経営を支援してきております。

 しかし、平成14年度決算において、それまでの資産の評価方法が簿価評価から時価評価に変わり、所有資産の評価額が14年度末に対し551億円の減となり、同公社の14年度決算における債務超過額が660億円に膨らみました。そこで、去る6月10日、同公社は、特定調停法に基づく調停を札幌地方裁判所に申し立てました。今現在、金融機関に対する債務の免除や、弁済方法の協議が開始されるなど、公社の経営は、予断を許さないものとなっております。

 ちなみに、札幌市が行っている22億6千万円の損失補償の内訳は、南郷16南地区の優良建築物等整備事業、豊平6・6北地区の市街地再開発事業、借り上げ市営住宅建設事業の3つでありますが、これらの事業に関しては、いずれも金融機関への返済が完了しているか、返済が確実なものと伺っております。

 残る懸念は30億円の貸し付け金です。新聞報道によれば、去る、6月12日、市長が高橋はるみ北海道知事にお会いした際、この件に関するなんらかの話し合いがなされたとのことです。

 そこでお伺いしますが、

 市長は、札幌市が公社に貸し付けている30億円の返還、金融機関への損失補償などの問題に関し、基本的に今後どのような姿勢で臨んでいかれるかお聞かせ願います。

 次に、札幌元気基金についてお伺いします。

 本年6月に出された国の月例経済報告によると、景気は、おおむね横ばいの状況であるとしています。わが国は深刻なデフレ不況下で、明るい兆しが見えない不透明な状況にあり、とりわけ、雇用情勢については、失業率が高い水準で推移するなど、厳しい状況が続いております。

 労働力調査結果によりますと、本年第1四半期の失業率は全国で5.5%であるのに対し、北海道は8.1%と大きく全国平均を上回っており、北海道は一段と厳しい雇用環境にあります。

 また市内企業の倒産状況を見てみると、件数ではここ2年ほど減少しているとはいえ、倒産した企業の従業員については、逆に増加の傾向にあり、平成14年においては、負債額1千万円以上の倒産企業は288件にも上っており、その倒産によって職を失った労働者の数は2,686人にもなっております。

 このように、本市の経済・雇用は大変厳しい環境に置かれており、これ以上状況を悪化させないためには、国の施策を待つばかりでなく、市としても緊急になんらかの対応策を講じていく必要があります。

 このような経済状況の中で、本市の融資制度の果たす役割は、増々大きいものになってきていると考えますが、その運用状況をみると、平成14年度は、新規融資が7,159件、638億円であり、融資制度全体では、18,664件、額にして実に1,656億円もの資金融資を実行しており、地元中小企業にとっては、大変力強い存在となっております。

 市長は、選挙公約に札幌元気基金の創設を掲げておられます。札幌市独自の札幌元気基金5百億円で中小企業への融資強化や転業、多軸化の支援、高齢者・女性・NPOなどの起業を支援するとのことであります。財源は市の持ち出しの他、従来の銀行との協調融資に加えて市民債の発行を検討すると提言されています。

 そこで1点目の質問ですが、本市には多くの地元企業が利用する体系だった中小企業融資制度があります。にもかかわらず、ここで5百億円程度の新たな基金を創設しても屋上屋を重ねるもので実際の効果は薄いのではないか、むしろ起業への投資を誘い出す「ベンチャーファンド」への支援が効果的と考えますが、公約としてあえて元気基金を打ち出した理由を伺います。

 2点目の質問ですが、市長が新たに提唱した元気基金においては、担保無しの融資を視野に入れているようですが、貸し出し先が倒産した場合には、結局市民の税金や、市長の言う市民債つまり市民からの借金が焦げ付くことになってしまいます。それを防ぐには、外部審査などの貸し出し要件を厳格にせざるを得なくなりますが、そうすると、逆に貸し渋りとなってしまい、これでは、せっかくの基金の趣旨が失われてしまいます。これを、うまく貸し起こしにつなげるのは極めて難しいと思いますが、この点に関する市長のお考えを伺いたいと存じます。

 3点目の質問ですが、今回の肉付予算では、元気基金に係る調査費3百万円が計上されております。この調査の内容についてもお伺いしたいと存じます。

 次に、建設業等構造不況業種に対する総合的な支援についてお伺いいたします。皆様ご承知のとおり、デフレ不況が叫ばれる中、市内企業は、業種を問わず、大変苦しい状況にあります。その中にあっても、建設業等の業種は、公共事業の縮小などにより、空前絶後の厳しい状況におかれています。ここ数年の本市の公共事業の発注額について見ると、平成10年度の1,145億円をピークに14年度は691億円と、39.7%減少するなど縮減される一方で、この傾向は、今後も続くものと考えられます。

 また、公共事業の縮減は、業界に競争の激化をもたらしており、ダンピングによる利益率の低下、公共事業の品質の低下が懸念されるところであります。

 昨年1年間に、市内で倒産した288件の企業の業種別の内訳を見ても、建設業が件数で最も多く、その数は112件となっており、倒産件数の約4割を建設業がしめていることは、業界の状況が如何に厳しいかを如実に表しているものであります。

 昨年の3定において、我が会派の勝木議員は、公共投資縮減による経済の低迷に対して、これまで以上の斬新な事業を展開するべきと提唱し、地元経済の根幹部に凝集されている資本力が完全に底を突いてしまう前に、それらを自立型のものへ移行させていくべきとの観点から、その対応策や検討体制について質問し、これに対し、当時の企画部長からは、「関係部局の組織横断的な協力体制を早急に組み上げ、経営基盤強化への支援や、相談機能の強化、新事業の研究開拓などについて積極的に検討する」旨の答弁がありました。

 その後、本市では、関係部局からなる検討委員会を立ち上げ、地元建設業等に対し、アンケート調査を行うとともに、その方策について様々な角度から検討が重ねられてまいりましたが、今回市長は、肉付け予算として構造不況業種である建設業対策に2,100万円を計上し、地元企業のIT化や、経営相談事業の支援を盛り込まれました。

 そこで質問ですが、これらの関係部局の組織横断的な協力体制、つまり、全庁的プロジェクトによる検討の結果をどのように問題解決に生かして行くのか、また、2,100万円程度の予算で、どの程度の効果が期待できるのか、お伺いします。

 ちなみに、市長は、地元企業の再生を円滑に進めるための時限的なソフトランディング施策として、道路や公園などの工事のうち11億円を意欲ある企業に限定して入札させるとのことですが、この効果についても、どのようにお考えなのか、併せてお伺いします。

 次にコンサドーレ札幌及び日本ハムファイターズへの支援のあり方についてお伺いします。コンサドーレ札幌は、幾度かの逆境を体験しながら、全国一と言われるサポーター達の熱い応援を背に、選手たちのひたむきなプレーが、多くの感動と夢を与えてくれるとともに、連帯感や郷土愛を高め、さらに、地元選手の活躍が新たな形での地域の振興や活性化に結びつくなど、スポーツのすばらしさを伝えてくれています。

 また、サッカー教室の開催やチームの地域との交流活動などが、青少年の健全育成や地域の連帯感を熟成し、スポーツ文化の振興による社会的効果と都市のイメージアップをもたらすとともに、様々な消費とJRや地下鉄などの交通需要を喚起するなど、経済的効果も非常に大きいものがあります。

コンサドーレ札幌は、札幌らしい市民文化をはぐくむことで、心豊かな暮らしを実現しようとするために本市の貴重な財産として市民に認知されており、これからも守り育てていくべきものと思います。しかしながら、コンサドーレ札幌は、誕生以来8年、14年度末の債務超過額が2億6千万円という経営状況にあり、チームも今シ−ズン、J1リーグへの復帰を目指して必死の戦いを続けています。しかし、J1昇格の争いに割り入れない不振が続いているため観客数は落ち込んでおり、J1残留を果たした平成13年の1試合平均2万2228人がピークで、今年は11試合終わったところで、1万2078人と37%も減っています。

 累積赤字は30億7200万円にもなる見込みとのことであります。入場料収入が計画の3割減、広告料収入も当然計画を下回り、経営難に拍車をかけています。

 もとより、コンサドーレ札幌は、プロスポーツ球団でありますので、その経営については、単独で採算をとることを目指すのが本来あるべき姿であると考えます。

 これまで本市は、コンサドーレ札幌に対し運転資金5億円の貸付と公益的な事業に対する補助として毎年1億円を支出してまいりました。かつて、議会においては、貸付金が返済不能になった場合についての議論の中で、桂前市長に対し、「そのときは、自らの退職金で肩代わりせよ」などと迫られたりしたことがありました。これに対して、桂前市長は、「市民が心をひとつにして応援できるプロチームが札幌にひとつくらいあっても良いではないか」と主張し、「コンサドーレを支えきれないようであれば札幌市民としても恥ずかしい」旨の答弁をし、支援の続行を決断しました。

 この件は、桂さんの英断として、今も私の記憶に残っています。

 そこで、質問ですが、上田市長は今後のコンサドーレ札幌に対する支援のあり方についてどのように考えておられるのか,お伺いいたします。

続いて,日本ハムファイターズについてお伺いします。

 本年3月に策定された札幌市スポーツ振興計画の重点施策の中では、トップスポーツチームと市民との連携が唱われています。プロスポーツについては「みる」対象としてだけではなくて、市民が一体となって「我らがチーム」として支えられるようなものにするとしております。

 来年から北海道をフランチャイズとし、札幌ドームを本拠地としてスタートする日本ハムファイターズについて、桂前市長は球団への経営に関する財政的支援は行わないとのことでしたが、これについては、我が会派も同様の見解を持っております。

 聞くところによりますと、日本ハム球団においては,選手にはできるだけ早い時期に家族ともども札幌へ居住してもらうことを基本としているとのことであり、独自に宿舎と屋内練習場の建設を進めるなど,より地域に密着した存在となるよう取り組んでおられます。

 今回の補正予算では,プロスポーツを通じた町の活性化策として、ファイターズ市民ふれあいキャンペーン事業及び商店街等スポーツ連携型チャレンジ事業が新規に提案されたところです。

 そこで質問ですが,

市長は,地域に根ざしたプロスポーツを市民とともに育てるとされておりますが、この日本ハムファイターズについて、お考えをお伺いいたします。

 次に札幌交響楽団への支援についてお伺いいたします。

 札幌交響楽団は、昭和36年「札幌市民交響楽団」の名で発足して以来,道内唯一のプロオーケストラとして、市民に親しまれながら活発な活動を展開してきました。本市も北海道と歩調を合せながら、楽団発足以来、継続的な支援を行ってきており、ここ3年間は毎年1億7200万円を助成したところであります。

 しかしながら、経営状況は悪化するばかりであり,平成14年度末の借入金総額は5億6000万円に達しております。

 現在、札響再建委員会は経営健全化計画を策定し、営業体制の強化や経費の縮減など、自助努力による赤字体質からの脱却を目指しているとお聞きしております。

 世界的に見ても交響楽団経営は厳しい状況にあるようであります。ちなみに、今、私の手元には『その微笑』という1冊の本があります。これは、札響の初代理事長だった阿部謙夫さんを追悼した本です。阿部さんは、札響の成長のために私財を投じ、亡くなられるまで応援し続けた方です。この本の中には、その阿部さんの言葉が紹介されています。

 「10年たったが、まだまだもう大丈夫という安心感が持てない。オーケストラ自活の道は、運営にタッチしてみて、至難のわざどころか、不可能に近いことを認識させられた。これは、伝統あるヨーロッパや、財政的に豊かな米国はじめ、世界共通で、みな外部からの補助に寄っている。フォード財団など、そうした組織に年間5億ドルも投資しているそうだ。幸い、近年になって、文部省あたりが、”補助すべきだ”という気になってくれたので心強い。」

というのが、その記述です。

 30年前も、今も、オーケストラを取り巻く環境は、非常に厳しいものであることがわかります。

 わが国を代表するオーケストラの一つにまで育ってきた札響は、札幌市民の貴重な財産であると考えるものでありますが、本市の財政的支援にも限度があります。現状では、阿部さんが夢見た大口の補助は難しいと思います。そこで、今後の札響への支援について、自らも札響のフアンである上田市長の基本的な支援の考え方を伺います。

 私は、都市間競争の時代を迎えて、札幌市が今のままの姿で生き残って行けるのかどうかを心配しております。魅力のない都市は、市民から見捨てられていくでしょう。都市の繁栄は、永遠ではありません。都市が輝きつづけるためには、不断の努力が必要です。札幌ドームがあっても、コンサドーレや日ハムなくては、その価値は半減してしまいます。キタラがあっても、PMFや札幌交響楽団がなくては、その魅力は輝きを失ってしまうのではないかと考えるものであります。

 次に、AIDS対策としての性教育について伺います。

HIV感染については、ここ数年、あまり話題にならなくなってきておりますが、感染者の数は着実に増加しているとのことであります。

 厚生労働省のHIV研究班の発表によりますと、2006年末には、我が国のHIV感染者数は22,000人に達するそうです。

 2002年現在では、5,286人という数字が出ておりますから、単純に考えて、4年間で4倍弱になるというわけであります。

 この状況は、札幌市においても同様であるようです。

 最近、札幌市のエイズ対策推進協議会が発表したところによりますと、性感染症は「若年層の間で爆発的に広がっている」とのことで、HIVにおいても、感染者数の増加が予測されています。

 札幌市の届け出状況においては、2002年現在で、48名となっておりますが、これは、あくまで届け出状況でありまして、実際の感染者数は、その数倍に上るとの声もあります。

 若者層の性行動に関するデータによりますと、高校生の性経験率が95年ころから上昇しており、特に、札幌市の10代の人工中絶件数は、平成13年のデータで1,344件となっており、この数字は全国平均の2倍であります。

 今後、本市において、性感染症や、HIV感染者が若年層を中心に増加する危険性は、かなり高まっているものと思われます。

 エイズ予防策を中心に考えた場合、学校教育の現場でも、その面における適切な指導が必要となっておりますが、一方では、「寝た子を起こす」理論が父母の間に根強く、余計なことを教えない方が良いとの考え方もあり、また、現場の教員たちも性に関する具体的な指導を行うのは荷が重いとの声もあるようです。

 そこで、1点目の質問ですが、本市のエイズ予防対策の現状をどのように認識しておられるかお伺いします。

 2点目の質問としては、本市の性教育のあり方について、どのような見解をお持ちなのかお伺いします。

 3点目の質問ですが、今後、保護者に対する啓発を積極的に行うべきと考えるところですが、いかがでありましょうか?

 4点目の質問ですが、性教育の専門家を養成して、学校現場に派遣すべきと考えますが、いかがでありましょうか?

 

 次に、少子化対策の一環として行われている子育て支援策についてお伺いいたします。

 皆様すでにご承知のとおり、札幌市の合計特殊出生率は、平成13年現在で、1.04となっており、平成10年から数えますと3年間で0.07の減少となっていまして、状況は刻々と深刻化しているところであります。札幌市は、これまで、国の方針に則り、この少子化現象への対応策として保育行政の充実に努めて来ており、ここ5年間で認可保育所の数を11箇所増やし、入所可能な児童の数を1,424名分増やしております。が、合計特殊出生率の推移を見ましても、保育所の数を増やしたことが出生率の向上につながった、という形跡は、残念ながら見受けられません。

 そこで、1点目の質問ですが、上田市長は、この度の市長選挙の公約に「保育所の待機児童の数を減らす」という項目を掲げております。確かに、働くお母さんたちにとっては、子どもを保育所に預けることができれば大いに助かるわけですが、実際問題として、そのことが少子化対策として有効なのかどうか、この点についての市長のお考えをお聞きしたいと思います。

 ちなみに、種々のアンケート調査の結果などを見てみますと、出産をためらう理由の第一番目には、必ずお金の話が出てまいります。フランスでは保育行政よりも現金給付制度の方に力を入れまして、これによって合計特殊出生率を1.7から1.9にまで引き上げることに成功しました。

 そのフランスの制度では、妊娠4ヶ月から3歳までの子どものある世帯で、所得が基準値よりも低い場合には、156.31ユーロ(日本円にして約2万800円)の乳幼児手当が支給されます。

 また、新学年手当というのもありまして、6歳から18歳の就学児のいる世帯には243.92ユーロ(日本円にして約32、400円)が支給されます。さらに、第2子以降の子どもが生まれた世帯には、その子が16歳になるまで、毎月日本円にして約14,500円の家族手当が支払われます。そして、3歳以上の子どもを3人以上扶養している世帯で、その所得が基準値よりも低い場合には、日本円にして2万1千円弱の家族補足手当が支払われます。この他に3人以上の子どもがいて、そのために親が就労できないような世帯に対しては、子どもの年齢にもよりますが、

 最大で約6万4,500円の養育手当が支給されます。子どもが3人いて、下の子が3歳以下で、真ん中の子が4歳か5歳で、上の子が6歳の学童で、親が就労していない世帯には、

トータルで約14万7千円が支給されます。

 札幌市が現在行っている保育行政に係る事業費は、平成14年度現在で、約161億円です。これに関連した市の職員費は約28億円で、合計いたしますと、約190億円となっております。

 これには、国からの補助が約52億円含まれており、保育料などの利用者負担が30億円弱ありますから、それらを差し引いた札幌市の持ち出し分は約107億円です。

 子どもを保育所に預けたい、または、すでに預けているお母さんたちは、一様になんらかの形で働いているわけですが、多くの場合は、高額所得者ではありません。子どもを保育所に預けてまで働いても、月に10万円前後程度の収入しか得られていないケースがほとんどではないかと思われます。定員90名のモデルケース的な認可保育所の場合、その運営費は、子どもひとりにつき、月額で約7万4千円となっております。親の方が支払っている保育料を考えれば、その7万4千円を親の方に直接支給した方が、効率が良いように思われます。子どもが2人あれば、

 14万8千円以上の給付となるわけです。ひとりしか子どもがいないとしても、10万円前後の収入を担保してあげるために、保育行政で7万4千円支払うというのは、どう考えても効率が良いとは言えません。

 もちろん、現代は、男女共同参画の時代でありまして、働くことで社会に参画しているのだ、という強い自負を持ち、「現金給付などはいらないから働かせて欲しい」というお母さんたちもいるはずです。そういうお母さんにとっては、保育行政は必要不可欠であると思われます。

 認可保育所に子どもを預けて働いているお母さんたちの場合は、基本的には、生活費が足りないために働いているのであり、そうでなければ、認可保育所は、その子どもを預からないシステムになっています。ということは、それらのお母さんたちに現金給付を行えば、ほとんどの場合は、子どもを保育所に預けなくてもよくなるのではないかと思われます。

 参考までに、フランスの現金給付制度を本市が独自に実施した場合の年間支出額について、我が会派内で独自の試算をしてみましたところ、おおむね年間150億円から180億円で、最大でも190億円以上の支出にはならないのではないかという結論に至りました。そして、この制度を実施した場合、待機児童の問題は大きく改善され、合計特殊出生率も上がるのではないかと思われます。 

 ご承知の通り、札幌市の出生率は、全国の政令都市の中で最下位であります。他の都市と同じことを、ただ漫然と続けていても、問題解決の糸口は見つからないと思われます。

 この点も踏まえて、待機児童対策に関する市長のご所見をお伺いいたします。

 2点目の質問として、里親制度の活用についてお伺いします。

 我が国には、里親制度がありますが、この中身を工夫して、子育て支援に活用できないかということであります。

 現行の里親制度は、児童相談所の仕切りで、児童養護施設の守備範囲との兼ね合いの中でやりくりされており、その適用範囲は非常に厳しいケース、例えば、母子家庭で母親が入院してしまったとか、両親のどちらかが精神疾患をもっているとか、虐待を行っているとか、そういったケースに限定されているようです。

 里親が子どもを預かる期間も、短期のもので1年間となっています。この里親制度をもっと拡大して、ショートステイ的な形態の里親制度ができないものかと考えます。行政の仲介で、働くお母さんたちが各々に特定の里親を見つけられるような制度を設け、働きに出ている時間帯だけ子どもを預かってくれるような制度があれば、施設型の対応とは異なったケアができるのではないかと思われます。

 そこで質問ですが、市長公約であるところの子育てプラザについてお伺いします。

 上田市長の基本姿勢の中には、小学校区単位に「子育てプラザ」なるものを開設して、子育ての不安を解消する云々の話が出ておりますが、その具体的な中身については、これから煮詰めると聞いております。我が会派としては、この子育てプラザには、先に申し述べましたショートステイ型の里親制度を運営するためのサテライト機能つまり、里親になりたい人と、里親に子どもを預けたい人との仲介業務を付加してはどうかと考えるわけですが、この点についての市長の見解をお伺いいたします。

 次に札幌駅地下歩行空間について伺います。

 札幌駅前通地下歩行空間により、札幌駅周辺と大通の地下を結び、四季を通じて安全で快適な歩行空間を確保することは、積雪寒冷地札幌の都心部のまちづくりを進める上で必要であります。特に、高齢社会を迎える中で、高齢者や身体障害者の方々が雨や雪に当たらずに、安心して移動できるバリアフリーの空間を創ることは、重要なことであります。

 現在の札幌駅前通は、銀行や事務所が多く、夕方や休日にはシャッターが閉まっているなど決して歩いていて楽しい空間とは言えません。大通からススキノまでの駅前通りも、以前はあまり楽しい空間ではなかったのですが、地下街ができて以来、地上にも店舗や飲食店が増え、ウィンドウショッピングが楽しめる今のような賑わいのある通りになりました。 地下をつくれば、その地上部分も変わり、歩いて楽しい街並みができあがるのです。

 今年、3月にJRタワー・大丸がオープンし、札幌駅周辺は巨大な商業ゾーンに変貌しました。ところが、この駅前商業ゾーンと大通りの四番街を中心とした商業ゾーンは分断されたままであります。札幌駅前地下歩行空間は、その2つの商業ゾーンを繋ぐものであり、都心の歩行環境を改善するだけでなく、このように魅力的で活力のある都心づくりにも大きな超爆剤となるものであります。

 本市は、本年3月に駅前通地下歩行空間の都市計画決定をし、都市施設としてその必要性を明確に位置づけ、2005年に着工し、2009年に完成させるなど、計画の内容を明らかにしたところであります。

 計画によれば、全長約465m、総事業費は約200億円でありますが内訳は国の負担が120億円、本市の負担が80億円と伺っております。また、接続対象ビルに対するアンケートでは、28棟中24棟、その中には、日本生命ビルなど再開発を計画中のビルを含むとのことですが、いずれも、地下歩行空間との接続意向を持っているとのことであり沿道のビルの期待も大きいと思われます。これまで、札幌市では、積極席に市民の意向調査やワークショップなどを行い、地下歩行空間の計画づくりを進めてきました。これらを通して、市民のコンセンサスも得られたものと思われます。

 次は、整備に向けたステップに入る時期に来ていると思われますが、今回の肉付け予算では、当初予定されていた予備設計が見送られ、それに代わって並木の移植のための調査や、その他の技術的な条件整理、市民のための検討資料作成および、市民理解を深めるためのPRを実施する経費として5,000万円の予算が計上されるなど、後退した内容となっております。

 しかし、札幌市は、本件の策定にあたって、平成12年度において、1万人の市民にアンケート調査を行い、4,386人から回答を得ておりまして、その結果を見ますと、市民の8割から9割は計画に前向きな意向を示しております。また、平成13年度には、公募市民50人による計4回のワークショップを開催しており、沿道との一体性や解放性、バリアフリーなど具体的な施設づくりについての意見が出されております。

 さらに、市民の声を代表する本市議会においても、あらゆる機会に議論がつくされており、種々の質問に対する理事者側の答弁の中で、地下歩行空間の整備の必要性が主張され、沿道ビルの再開発の誘発などによる経済波及効果についても明らかにされております。我が会派としては、市長の言う市民の理解は、すでに得られているものと考えております。理解していないのは、失礼ながら、市長ご自身と、一部の反対者のみなのではないでしょうか?

 地価開発と言いますと必ず、買い物客が地下に流れ、地上が寂びれるという議論が起き、一部の商業者の反対にあいます。

 しかし、実際には反対です。大通りからススキノ、大通りからテレビ塔を繋ぐ時も反対がありましたが、今はどうでしょう。地上の商店街と地下街が一体となって大変な賑わいをみせています。

 地下鉄と同様に、将来、永きに亘り札幌市民にとって、有効な設備として感謝されると思います。また、逆に今やらなければ、厚生の市民から怠慢のそしりを受けることになるのは必至です。

 聞くところによれば、今回の調査費は、本来ならば、平成15年度に実施される予定であった予備設計費の前倒しである伺っております。我が会派としては、当初の計画通り、平成15年に予備設計を行い、同17年には速やかに着工すべきものと考えます。そこで、今予算には、5,000万円の調査費ではなく、本来の予備設計費を計上し、平成21年完成に向けて直ちにプロジェクトをスタートさせることを提案します。この点についての市長のご所見をお伺いいたします。

 では、最後に、一言申し上げます。44年間助役出身の市長が続きました。この体制は、行政の継続性が担保され、長期的視野の下に札幌の街を計画的に発展させ、世界に誇りうる街づくりを進める上で、きわめて効率的であったと存じます。長期総合計画や、5カ年計画を積み重ねながら、大地にしっかり足をつけて、すばらしい街づくりが行われて来たと評価しております。しかし、同時に、長期政権特有のデメリットも否定しきれません。内なる改革は、どんなに努力をしても、限界があります。13年間におよぶ長期不況の下、厳しい財政状況にある本市が行財政改革をはじめ、組織、政策、行政の進め方について、ドラスティックな(徹底的)改革を行うためには、外部の血を必要としている。これが、桂信雄前市長の結論であり、

 このために、庁内から後継を出さないという決断が下されたのであります。私は、上田新市長が市民の期待に応えるべく、大いに頑張っていただきたいと思っております。

 今、私は、昭和58年に横路孝弘さんが北海道知事に就任されたときのことを思い出しています。横路さんの場合も、官僚出身の知事が24年間続いた後にさっそうと登場したわけですが、

 ご承知の通り、その末路は、惨憺たるものでした。食の祭典の失敗、長期総合計画をめぐる側近による汚職、などの不祥事を重ねた上、堂垣内知事が積み立てた1千億円の基金を全て使い果たし、自ら行政官として無能であることを立証して、国会へ逃げ帰って行ったのであります。上田市長は、その横路氏と同じ法律事務所に所属しておられましたが、上田市政が終わったときに、「やっぱり、役人出身の市長の方が手堅くて安心できる。民間人では無理だった」と言われないよう、心して職務に当たっていただきたく存じます。

 我が会派は、立場は違えども、札幌市民の幸福と札幌市の発展を願う気持ちは同じであります。是は是、否は否として、これからも札幌市議会において、活発な論陣を張ってまいる所存であることを申し上げて、私の質問を終わります。


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