2005年3定 決算特別委員会質問(こども未来局)

 私からは、少子化対策についてお伺いします。

 皆様ご承知の通り、本市の少子化傾向は、ひどいところにきており、合計特殊出生率が1.0を切るのも時間の問題かと思われます。それで、本市としても、少子化対策には、力を入れなきゃならないわけですが、少子化対策と言いますと、国がはじめたエンゼルプラン以来、保育所を充実させることが重点課題とされ、待機児童問題の解消が当面の目標となっております。しかしながら、子どもが減っているにもかかわらず、しかも、毎年、新しい保育施設を整備し続けているにもかかわらず、保育所の待機児童問題は解消されていませんし、出生率もあがっておりません。保育行政は、必ずしも少子化対策としてのみ行われているわけではないようですが、少子化対策としては、なにか、ざるで水をすくっているような空しさを感じます。

 保育所の充実は、すでに子どもをつくった人のための救済策であり、対処療法的な施策で、抜本的な対策ではありません。抜本的な少子化対策があるとすれば、それは、すでに子どもをつくった人たちに、「もっとつくれ」というのではなく、まだつくってない人たちに「いいからつくれ」という施策だと思いますが、これが、なかなか難しいようです。

 我が会派としては、次世代育成支援対策推進行動計画策定にあたり、「父性・母性の育成」という項目を最重要課題としてあげました。子どもをつくりたがらない人たちの、つくらない理由は、@教育にお金がかかりすぎる、とか、A子育てをする時間的な余裕がない、とか、B景気の低迷で将来に夢が持てない、などの話となりますが、実は、それらの理由の根底には、短絡的な損得勘定が働いています。子どもをつくらない理由の奥には、子どもをつくると損になる、という意識が働いているのです。この場合の損とは、時間的な余裕を失うとか、金銭的な余裕を失う、ということです。そして、損得勘定で子をつくろうとしない若者の内面には、父性・母性の欠如という教育上の問題が内在しています。要するに、精神的に「幼い」のです。子孫を残すのが動物としての本能であることに目覚めていないとも言えるかもしれません。

 もっとも、もうすでに大人になってしまった人たちに、今さら父性・母性なんて話を説教しても、なかなか難しいでしょう。が、自我が確立される前の中・高生などには、それなりの手だてをすれば、かなりの効果があがるような気がします。その年代の子どもたちの精神的な成長を促すような施策が、今の札幌市にはないわけで、これを早急に形にすべきと思うのですが、いかがか、まず、お伺いします。

 尚、もしも、すでに、父性・母性の育成というような取り組みがなされているのだとするなら、そのことをお知らせいただきたい。また、それらのプロジェクトは、どのくらいまで踏み込んだものなのか? 人格形成に大きく寄与するところまで踏み込んだのものなのか? 父性・母性の育成と言えるような、つまり、精神的な成長を促すような指導となっているのか? といったところも併せてお伺いします。

答弁:

中・高生などの精神的な成長を促すような施策を早急に形にすべきというご質問ですが、現在行われている取り組みとしましては、思春期ヘルスケア事業というのがありますし、児童・生徒を保育所につれて行って赤ちゃんと触れ合うような機会を設ける事業も行っております。また、子育て世代の若者向けにフォーラムなどを催したりもしています。

それらの内容が、人格形成に大きく寄与するところまで踏み込んだ指導となっているのか、というご質問についてですが、子を産むか産まないかは、個人の判断で決められるべきことであり、行政としては、個人の価値観にまで踏み込むことには限界があります。したがいまして、「意識の醸成を図る」というのが限界でございまして、指導というところまでは、なかなかまいりません。

<再質問>

 確かに、市民には、子どもをつくる権利もあれば、つくらない権利もあるわけで、「子どもをつくらないのはけしからん」などといった教育はできないと思います。私のウチなどは、つくりたくても、できないわけで、それが「けしからん」と言われると立つ瀬がありません。しかし、「子どものいる家庭はすばらしい」ということを教えることには、なんら問題はないはずですし、「子どもをつくり、育て、老いては孫とたわむれる」というのが充実した人生の完結した姿であると教えることには、なんの差し障りもないと考えます。意識の醸成を図るとか言っておられましたが、これでは、ちょっと弱いと思います。もう1歩踏み込んで見て、指導、という言葉が強すぎるならば、「奨励する」という形にまでもっていっても問題はないと考えますが、いかがでしょうか? この点についてのご見解を再度お伺いします。

 それから、対処療法的な施策の方で、もう1点だけ質問いたします。

 先ほどは、「損得勘定で子どもをつくらない若者が多い」という話をしましたが、対処療法としては、子どもをつくると得をする、または、つくらないと損になるような社会構造を築き上げるのが有効だと考えます。まあ、この手の話になりますと、税制面での優遇制度を実施するだとか、子育て保険制度を創設して子育て中の人を子育てしていない同世代の人たちが扶助する制度をつくるとか、といった話になり、どちらかと言うと、国の守備範囲の話になってしまうわけですが、それでも、地方は、地方なりに、できることもあります。

 それで、その方面で頑張っている奈良県の施策をご紹介します。

 奈良県では「なららちゃんカード」なるものを18歳未満の子どもが3人以上いる家庭に発行しており、このカードを提示すると美容院で10%の割引サービスが得られるとか、スポーツ用品店で20%割引のサービスが得られるとか、地元の信金で定期預金の金利を7倍にしてもらえるなど、一般人の目にも見える形のサービスが展開されています。これは、子どもを3人以上産むと得をする社会構造を目指して、県が地元企業の協力を得てつくりあげたシステムで、そのサービスについての企業の損失分を県が補填するようなことは一切行っていないそうです。

 札幌市も、こういう取り組みを行うべき、と思いますが、いかがか、局長の答弁をお願いします。

答弁:

子どもをつくるかつくらないかの選択は、市民ひとりひとりの価値観に基づく選択であり、もう一歩踏み込んだ奨励、という点に着きましては、行政の立場では、やはり難しいと思います。(そんなことはわかった上で質問してるのがわからんのか、というヤジが飛んだ)

なららちゃんカードについては、貴重なご提案をありがとうございます。本市としても、前向きに検討させていただきます。

<コメント>

 子どもをつくると得をする環境づくりにつきましては、非常に前向きなご答弁をいただき、満足です。しかしながら、父性・母性の育成については、どうしても腰が引けているようで、残念です。ちなみに、今回、この質問をつくるにあたり、本市の少子化対策に係る経費がどのくらいかかっているのか、という問い合わせをしたのですが、どうも、本市においては、様々な事業のうち、どれが少子化対策で、どれがそうではない、というような色分けがなされていないとのことで、少子化対策全体の経費については、その数字を出したことがないとのことでした。まあ、その説明はわからないではないのですが、しかし、これは、ひょっとすると、少子化対策というものを統括的にまとめる、と申しますか、いわゆる司令塔的なところが全体を把握するような形になっていないのではないかと懸念されました。それで、保育所の運営に係る経費はどのくらいなのかと問い合わせてみましたら、こちらはすぐに出てきまして、16年度の決算額で、総事業費が約190億円、そのうち、施設利用者の負担額が約30億円、国からの補助額が約50億円、そして、それらを差し引いた額、つまり、本市の負担額が約110億円だということでした。ずいぶんお金を使っているわけですが、原局としては、どうも、これさえやっていれば、少子化対策もやってることになるんだ、というような気分があるのではないか、と思われます。そういうことでは困るわけで、少子化対策の本丸とも言える、父性・母性の育成についても頑張っていただきたいと思います。これは、要望にしておきます。


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