有事体制について(2010年11月20日)

有事においては、国家の意思決定機能を高める必要がある。

今の日本の最大の弱点は意思決定機能が低いことにある。

意思決定機能が低い原因は、政党の数が多すぎることと、参議院と衆議院がねじれていることと、政治主導による政策立案機構がないことにある。

政治主導による政策立案機構をつくるには、官僚たちの中から優秀で統率力のある者を政治家に転身させるのがてっとり早い。っていうか、それしかない。タレントだの、弁護士だの、神主だの、弁理士だのの経歴しかない者が政治主導を主張して政策をつくってみたところで、東大出の官僚たちはバカにして動かない。官僚たちを動かすには、官僚たちを敬服させられる、または、圧伏させられる人材を大臣にするしかない。そして、官僚たちを敬服または圧伏させられる者とは、官僚出身の大物であり、出身省庁の人事一切を動かせるような人物である。

官僚もナマのままでは官僚特有の臭みがあるが、選挙の洗礼を受けさせて、どうやったら人気者になれるかを真剣に考えさせれば、あの独特の臭みはそこそこ抜ける。

自民党は、古来、官僚から政治家に転身した者たちをもって党の中枢部を固めてきた。その時代は、世の中はうまくいっていた。が、それらの政治家の2世や3世が官僚経験もないままに親の地盤と看板を引き継ぐようになり、それらが官僚たちからバカにされるようになって以来、この国の運営はうまくいかなくなった。全部の国会議員を官僚出身者で固める必要はないが、有事において、各省庁を機能的に動かすには、各大臣をそれぞれの省庁からのはえぬきで固めるのが有効であろう。

衆議院と参議院がねじれないようにするには、参議院議員の選出方法を一般国民の投票にしない方がよい。ドイツの上院議員は下院と州議会の投票で選出される。これならば、まず、ねじれることはない。日本の場合も、参議院の選出は、衆議院、都道府県議会、政令指定都市議会の投票で選出するようにすると、まず、ねじれなくなるはずである。

政党の数を減らすには、市町村議会の議員定数を大幅に削減すればよい。

米国には共和党と民主党の2つの政党しかない。これは、市町村議会というものがなく、助役のような役職の者(きわめて少数)を市長と同時に選挙で選出する方法をとっているからである。日本やドイツは、市町村議会の議員定数がやたらと多く、ひとつの選挙区から多数の議員が選出される。共産党のような少数政党を支えているのは、国会議員ではなく、市町村議会議員たちなのである。ドイツでも多数の政党が林立していて、政府は常に連立政権の形をとらざるを得ないのだが、これも、市町村議会の議員定数が多いためであると思われる。 たとえば、ひとつの選挙区から2名ないし3名しか当選できないようにすると、共産党はほとんど入り込む余地がなくなるのである。そして、市町村議会から共産党がいなくなると、国政選挙においても共産党は選挙基盤を失う。 逆に、自民党や民主党は、市町村議会を二分するような体制をつくることができるようになり、国政選挙においても有利な展開が可能になる。そうなれば、みんなの党、社民党、国民新党、などの少数政党は、存続できなくなるであろう。

市民意見をより丁寧に取り入れる、という観点からは、多数の少数政党が林立していた方が市民にとっての選択肢が広がっていいことになるが、しかし、結局、それでは、寄り合い所帯の政府しか成立せず、意思決定機能がきわめて低いものになってしまう。

今の日本は、参議院の選出方法をアメリカ式にし、市町村議会のあり方をドイツ式に近くしているが、これを逆にして、参議院のあり方をドイツ式にし、市町村議会のありかたをアメリカ式にすれば、かなり機能的な政府をつくることができる。

ちなみに、市町村議会議員の首をバッサバッサと切り落とすのは、簡単ではない。共産党はもとより、自民党の議員も、ものすごく抵抗するはずである。その場合は、私も抵抗する(笑)。私らが抵抗すると、国会議員の選挙も破綻する。その抵抗をやわらげるためには、それなりの補償をしなくてはならない。それなりの補償を受けられるならば、そろそろ引退してもいいかという議員は多数出てくるだろう。

実は、市町村議会議員の議員年金はもう底をついている。私らなどは、年間150万円ものお金を支払わされているのだが、それでも、制度をつづけることができなくなっている。支払う側が2万人しかいないのに、受け取る側が6万人もいるからである。制度をつづけるには、さらに掛け金を3割ほどあげなくてはならず、支給額をさらに下げなくてはならない。掛け金の3割り増しは、私らにとっては、とても支払える金額ではない。引退後の支給額も、すでにかなり下がっており、もはや、議員年金をあてにした引退後の人生設計はできなくなっている。

さらに、我々は、費用弁償をゼロにしてしまい、期末手当などもなくしてしまい、政務調査費の使い道も厳しく制限してしまった。なのに、選挙費用や事務所経費は昔のままである。議員には退職金もなく、今では、札幌市議会議員なんぞをやっていても、一人前の生活はできなくなっている。おそらく、「毎月40万円、死ぬまで出してやるから、来年の選挙はあきらめないか?」と言われれば、「じゃあ、やめるわ」という議員が続出するだろう。それならば、私もやめたいです(笑)。とくに、それがお国のためになるならば・・・(笑)。

みなさん、いかがでしょう?

40万円はずっこいぞ! 20万がいいとこだ! って言う人がいるかもしれませんが、しかし、札幌市議会議員ひとりについての役所側の経費は年間2,200万円以上です。毎月40万支払っても、その年間支給額は480万円にしかなりません。しかも、これは、人員削減の際にやめた議員に対してのみです。その後の引退議員には、そんな補償はいりません。悪い話ではないと思いますが・・。


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