大阪俯こども条例(2007年7月13日)

先日、大阪に行く機会があり、大阪府に立ち寄って大阪府が今年の4月から施行させている「こども条例」について視察させてもらってきた。

視察日時:6月8日(金)

参加者:勝木 宮村 横山 佐々木 小嶋 飯島 計6名

視察先:大阪府庁 

説明員:大阪府生活文化部 次世代育成支援室

                 少子化対策課長 河野俊一郎

      少子化対策課 企画グループ 課長補佐 村田幸正

      少子化対策課 企画グループ 総括主査 森口昌彦

      少子化対策課 企画グループ 主  査 中尾正信

質問項目(事前に通達したぶん):

@ 条例の発案者は誰か(知事または、どこの会派の議員)

A 知事及び自民党はどのようにしたのか

B 子どもの意見表明権はどのように扱ったのか

C 条例の名称から「権利」の2文字を外した理由

D 学校等の教育機関の反応について

E 条例制定に対する府民の反応について

説明:

@条例の発案者は誰か(知事または、どこの会派の議員):

種々の団体などから条例制定を求める動きはあったが、府としては、必要なしと判断していた。ところが、平成16年1月に深刻な虐待事件が露見し、これを機に自民党議員から条例策定にむけた議論が高まった。

A知事及び自民党はどのようにしたのか:

自民党主導の下、前向きに検討する姿勢となった。

B 子どもの意見表明権はどのように扱ったのか:

『大阪府子どもの権利についての条例検討会議』においては、基本理念の部分で「・・・社会(大人)は子どもに対し、参加する機会の提供に努めることが必要である。この場合、子どもの思いや意見は、子どもの権利条約で規定されているように「自己の意見を形成する能力」と「年齢や成熟度」に従って相応に考慮する必要がある。」というような形で提言がまとめられた。しかしながら、最終的に策定された条例文の基本理念は、「子どもに対する参加の機会の提供に努めなければならない。」というだけにとどまり、「子どもの意見」という文言すら使われなかった。

C 条例の名称から「権利」の2文字を外した理由:

民主党議員の代表質問などでは、「権利」の2文字を入れるべしとの発言があったが、大阪府としては、子どもの権利条約にある種々の権利は憲法に定められているところの「基本的人権」に包含されるものであり、改めて条例の文言にせずとも、子どもの基本的人権を守るという姿勢は担保される、という考え方に立った。これにより、条例の名称から「権利」の2文字が削除され、条例の性格も子どもの権利を定めるようなものではなく、大人の責務を定める性格のものとなり、子どもに関する総合条例としての位置づけがなされた。

D学校等の教育機関の反応について:

大阪府子どもの権利についての条例検討会議の条例検討会議委員の中には、府内の学校長を務める人が複数あったため、検討会議から出された提言には、それらの委員を通じて教育機関等の立場や見解も反映されている。条例は、その提言を受けてつくられたものであり、学校等の教育機関からは、否定的な反応は出ていない。しかしながら、今後は、条例の解釈の面で学校等からなんらかの意見が出るかもしれない。

E条例制定に対する府民の反応について:

条例制定前の段階では、条例の骨子案に対する府民意見を募集した。この段階では、116人(個人93人、団体等23団体)から意見が出された。(その内容については添付資料参照のこと。)条例制定後においては、批判らしき反応は出ていない。

その他の質問

F 次世代育成支援行動計画の段階では、子どもの権利条例の策定が計画されていたか:

大阪府 子ども・未来プラン(大阪府次世代育成支援行動計画)の55ページに子どもの権利についての記載があり、「子どもの権利についての内容を明らかにし、府民1人ひとりが子どもの権利について理解と関心を深めるための普及・啓発方策について、条例も含めて検討します。」としている。

註1・札幌市の次世代育成支援行動計画においても子どもの権利条例策定について定められているが、2006年に市長から提案された子どもの権利条例案は否決された。

註2・大阪府議会における会派別の議席数は、自民党42 民主党25 公明党23 共産党14 他10、となっており、議会における自民党の立場は、第1党であり、与党でもあるが、過半数の議席はない。

感想:

大阪府が策定した子ども条例は、きわめて冷静な議論を経てつくられている、というのが第一印象である。担当の課長さんによれば、大阪府としては、条例案をつくる段階において、札幌市議会での議論を大いに参考にしたそうである。そう言われてみると、大阪府の条例には、我々がこれまで議論してきた内容が上手に盛り込まれているように感ずる。条例の名称から「権利」の2文字を外したことは、我々が特別委員会等で主張してきたことである。また、我々は「権利」ばかりでなくて「義務」についても条文に盛り込むべきだという議論を盛んに行ったところであるが、大阪府の条例では、「責任」という言葉が随所に出てくる。さらに、我々は、権利条例策定についての懸念材料として、我が子可愛さに目が眩んで問題行動を起こす親たちへの対応についても言及したところであるが、大阪府の条例では、子育てについての第一義的責任は保護者にある、と明記されている。

大阪府が策定したような条例であれば、我々も賛成できるのだが、札幌市の態度は、大阪府とは180度逆である。改めて、市長選での敗北の影響の大きさを痛感した。


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