油灼肉(烹のはじまり)  

『随園食単』 袁牧
 豚肉の部 11

 久々に更新するこのコーナー、本日取り上げるのは『随園食単』からのレシピである。『随園食単』の著者、袁牧は清の人で、営んでいた庵の名前から袁随園とも呼ばれ、料理以外にも多岐にわたる分野に精通する才人であった。グルメで知られる彼は『随園食単』を著してその味に対するこだわりを世に示し、東洋のブリアサヴァランと並び称されるほどの人物であり、この書物も清代屈指の料理書として有名である。青木正児先生もこの『随園食単』を訳出しており、青木正児全集の第八巻に納められている。

 本日紹介するレシピは「油灼肉」というメニューで、なぜこれを取り上げたかというと、私が再三、「中国料理の基本は烹だ!」(家常菜コーナー参照)と強調している「烹(下味 を付けた肉(魚)をさっと油通し、香味野菜を油で炒めて香りを出したところに肉(魚)と野菜と合わせ調味料を 合わせて強火でさっと炒める調理法)」の技法が最初に登場したレシピがこの「油灼肉」であるといわれているからである。(中国烹百科全書より)なお、このレシピについては読解コーナーでも取り上げることを予定しており、そちらで文章の詳細な読解を試みるつもりである。



@硬い短肋(あばら肉)を取って四角に切り、筋を去り酒と醤(みそ)とにしばらく浸しておく。
市販の豚の三枚肉を使用。酒と味噌とに一晩浸して置いた。






A煮立った油の中に入れて空揚げにして、脂身は油が抜けて、赤身は肉がふんわりと軟らかにならせる。
←@を油で上記の状態になるまで下揚げする。






Bそして鍋をおろす際に葱とニンニクを加え、
←葱、ニンニクの香りを出す。






Cほんの少し酢をぱらぱらとふりかける。

←酢を材料になじませる。






D完成。



再現後記◎

 いやー、さすがに現代も現役で使われている調理法「烹」を用いているため、おいしかった。古代レシピのコーナーで、心からおいしかった、また作ろう!と思ったメニューは初めて(笑)。清朝のレシピで比較的時代が新しいせいだろう。中国四千年、ここまでに技法が完成するには長い歳月がかかったということか?
 だんなにも「これなら食えるな」との好評価をいただきました。ごく普通の中華料理店で出てくるような酸味の利いた肉の炒め物という感じです。豚の角煮より時間もかからないので、是非お試しください。これなら安心してお勧めできます。(笑)。


油灼肉を試食中…。

2003.11.21更新