味の素について



先日、華国風味のレシピを見て実際につくって見たという方から、「味の素はちょっと 抵抗があって…・」というご意見をいただき、ちょっくら味の素について調べてみようかな、 という気になり、今回は味の素を取り上げて見ることにした。

 『味の素は、中国語では「味精(ウェイジン)」といい、ドイツ人が最初に小麦のグルテンから グルタミン酸の抽出に成功したが、1908年に日本人の池田菊苗という人がコンブからグルタミ ン酸を抽出するのに成功し、1909年に日本の鈴木三郎助と忠治兄弟が「味の素」として商品化 した。中国では、呉蘊初さんが1921年に味精として生産を開始した』(中国烹百科全書より) とあった。味の素潟zームページhttp://www.ajinomoto.co.jp/ajinomoto/A-Company/index.htmlの 沿革にもほぼ同様のことが書かれており、その後、世界各国に進出し、味の素は、日本が産んだ世界 に誇る調味料になっていったことが分かる。

 しかし、どうもその母国日本の家庭では、味の素アレルギーというか、家庭料理に味の素をパッパ とふりかけることに抵抗感をもつ人が多い印象がある。料理に味の素をふりかけることに対し、なにか いけないことをしているかのような、まるで何かに敗北したかのような後ろめたさを持っている主婦は 私の知っているだけでもかなりの数にのぼる。むしろ後から伝わった中国人のほうが、味の素を何のた めらいもなく大胆に使いこなしているような感じがする。まるで、発祥の地インドではすたれたのに、 伝承先の東アジアで全盛を極めた仏教のような現象 (ちょっと大げさ?)が起きているのである。

 私の通っていた中国の調理師専門学校でも、下味付けや、合わせ調味料に、ことあるごとに味精が 登場し、そのうちに私自身の味の素に対する抵抗感も麻痺していったのだった。たしかに、戦前は味 の素がそれほど普及していなかったため昔の中華料理には味の素が入ってはいなかっただろうし、本 格的な中華料理店でも、済南賓館のように現在でもかたくなに化学調味料を否定し、頑固にそれを貫 いているところもあるにはある。しかし、斉民要術の時代に醤油はなかったが(注1)、その後醤油が誕生し て普及していったように、もし目新しいものであってもそれが良いものであれば取り入れられて行く のが時代の流れというものなので、全面的に否定されるべきものでもないように私は思う。100年、 200年後の中華料理に、もしまだ味の素が頻繁に使われていたとすれば、はやりものでなく本物に なったと言えるのかもしれない。

 賛否両論ある味の素ではあるが、要は好みの問題だと思うので、私のレシピにも味の素と書くこと ははばからないが、入れる入れないは各人の裁量におまかせしたい。ただ、中華料理に一度も味の素 を使ってみたことのない方は、一回くらいは試してみても良いかもしれない。使うと使わないでどう 言う風に味がちがうのか、知っておくのも損はないと思うからである。

 そもそも、自分の手で味の素を加えるのに抵抗がある日本人なのに、消費者に何の断りもなく大量 に化学調味料を加えている可能性の高いコンビニ弁当や店屋物を平気で食べているのは何かヘンな気 もする。それならば、自分の手で加減しながら化学調味料と上手に付き合っていくのが賢いやり方だ と私は思うのだが皆さんはいかがお考えでしょうか?    

注1:大豆のみで作る「たまり醤油」に近いものはあったらしい

                                   2003.6.2更新

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