済南賓館 四谷

中国四大菜系の一つ、魯菜の本拠地である済南(ジーナン)の地名を冠したその店は、その名に
ふさわしく、中国人の料理人でもめったにいないという特級厨師と正宗魯菜伝人の称号をもつ、
「こんなスゴイ人、日本にいていいの?」と思うほどの輝かしい経歴のシェフの店です。その
へんの詳しいことは春秋社、『済南賓館物語』(写真)に書かれているので、そちらをごらんになってください。
四谷駅前の大通りから一本入った道をすこし歩くと、普通のマンションのようなところに「済南賓館」
という青く 光る小さな看板が、さながら旅館のような感じで、知らなきゃ絶対気づかないような外観です。そこを
さらに奥に進むと店があって、店内に入り、完全予約制なので、予約の名前を言うと、店主夫妻が迎え
てくれました。 店内にいるお客は皆常連さんのようで、自分でビールを冷蔵庫から持っていく
ような家族的な空気がただよい、新参者にはちょっとおもはゆい空気がありました。
料理は、さすがに本格的な魯菜の味でした。でも、家庭料理的なメニューを頼んでも、若干お値段が
高めで、原価率が低め?と思ってしまいました。まあ、砂糖と化学調味料を一切使わないでそれに
負けない味を出すには、私などには思いもよらないような手間ひまが陰でかかっているのかもしれ
ません。
とにかく、東京でこういう本格的な魯菜が楽しめるということ自体に意味があると思うし、広東
料理、四川料理全盛の日本において、山東料理を看板に掲げて何十年もがんばっているその姿勢には
心打たれるものがあります。この店はきっと、もしあなたが男性ならば、これから口説こうとする恋人を連れて
行くといいのではないでしょうか?「北京料理の元になってるのがこの山東料理なんだよ。この店は
その中でも、魯菜伝人の称号を持ってるスゴイ店なんだゼ。」なんてウンチクを垂れつつ、常連のよ
うにビールを冷蔵庫からおもむろに取り出したりなんかすると、「わあ、こんなお店知ってるなんて
あなたって詳しいのね、ステキい!」なんてことを女性に言ってもらえる…かもしれません
(笑)。 (私なら絶対言わないけど)。
ここのシェフは大正生まれだそうで、かたくなに守り抜かれた昔ながらの魯菜の味は、本場中国でも文革のときに滅んでしまった味で、もしかすると
一代限りのものになってしまうかもしれません。もし興味を持たれた方はお早めに足を運んでみて
ください。
山東料理は北京料理とも違うので、この店だけでなく、もっとブラッと行って気軽に山東料理を食べ
られるような店が日本に増えるといいなー、と思います。
2003.5.15 更新
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