寒さの厳しかった冬も3月に入り日中は段々と暖かくなり、ようやく梅の花も咲き始め、心地良い春の光と風がお彼岸の訪れとともにやってまいります。皆様方に置かれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて昨年は、3月11日に発生した東日本大震災を始め翌12日には長野県栄村で震度6強の地震も発生し、9月には台風12号が紀伊半島を襲い土砂が川をせき止め大きな土砂ダムができるなど、各地で大規模な自然災害が起こりました。特に東日本大震災では、津波が地形を大きく変え、家や家財道具等を流し去り、多くの尊い命が一気にのみ込まれて行きました。被災された方の心の傷は1年経った今もなかなか癒えることはないでしょう。
大震災では多くの尊い命が失われましたが、今なお身元不明のご遺体や行方不明の方も多くおられます。3月1日現在、亡くなられた方は1万5854人に上っております。仏さまとなられた故人はこの3月11日に一周忌を迎えます。
「一周忌」は、古くは「むかわり」とも言われていました。「むかわり」は「周期」と書き、1年が廻ってくることで、一周忌や最初の誕生日(満1歳)、さらに仏教用語で死後に生まれ変わることの輪廻(りんね)・流転(るてん)を意味します。そしてこの誕生日や輪廻が意味するところは、「身代わり(むかわり/ムはミの古形)」即ち死後にこの身が代わることの意味だとする説があります。では、何に代わるのでしょうか。それは仏さまに生まれ代わるのです。故人の御魂(みたま)は初七日から四十九日を経て、新たな世界(仏さまの浄土)へ生まれ変わります。ですから一周忌は仏の命を授かって初めての誕生日だとも考えられます。
野田内閣は閣議で、東日本大震災の発生から1年となる3月11日午後2時46分に一分間の黙祷(もくとう)を捧げるよう、国民に協力を求めることを決めましたが、仏教徒である私たちは震災のことをいつまでも忘れることなく、日々御魂のご冥福をお祈りしていくことが努めではないでしょうか。