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易 経 と は
易経は、3千年前に中国で生まれた儒教の経典で、最古の占いの聖典です。
四書五経の一つです。
現在、21世紀の思想として世界的に東洋思想が見直されていますが、易経の
陰陽思想もその一つです。
易は、陰と陽の対立、調和、生成変化により万物の成り立ち、活動を説明しよ
うとするものです。 |
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世界の初めに、太極があり、太極から両義が生れ、両義から四象が生れ、
四象から八卦が生れたとします。 (下図「大極から八卦の生まれる過程」参照)
この八卦(小成卦)を2つ重ねたのを大成卦といい64卦あります。易占では、
大成卦に照らして運勢を見るのです。
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易は、陰と陽の2進法なので、2の6乗つまり64の形態(hexagram)にな
ります。この大成卦には、それぞれ名前がついています。安泰、啓蒙、同人、
観光、革命、損益、苦節などは、易経の卦から出た言葉です。
易占で使う用具と占い方は、易占の用具のページを参照してください。
実際に易占をするには、「易占シュミレーター」をどうぞ
以下、桜美林大学北東アジア総合研究所「北東アジアにおける企業活動と儒教倫理の相関関関係」
研究プロジェクト年報(2007年4月)掲載論文より
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易 と 経 営
はじめに
私は経営コンサルタントで、中堅中小企業のコンサルティングに40年間従事している。勤務先は、椛n造経営センターといい、会計、税務、IT、教育も行う所員60名の総合事務所である。この10年あまり日中の企業交流にも関わり、Jicaの中国中小企業振興調査団や、中小企業診断士の日中交流チーム(日本経営管理教育協会)に参加してきた。 創造経営センターのコンサルティングは、人材育成(創造者づくり)を基本に置いている。目に見える企業経営の背後に、目に見えない企業理念、哲学があり、それを生み出すのは、経営者の価値観、人間性である。そこで、創造経営センターのコンサルは、管理技術的な手法の導入に先立って、人材育成(創造者育成)と集団組織性格の向上に重点を置いている。アングロサクソン型の資本主義、市場経済原理のもたらす環境破壊や金銭物質優先、経済至上主義の弊害が顕著になった。これを克服する思想として、東洋的な経済経営思想があるのではないかと考え、東アジアの基層思想である儒教、仏教、道教、神道などを研究している。易経の研究もその一つである。易の思想と易占を関与先のコンサルティングに活用しているうちに、易は古くかび臭い理論でなく、現代にも生かせる創造力をもっていると確信した。また易経は儒教の経典でもあり、儒教倫理の考察には欠かせない古典である。そこで、易とはどんなものか、経営にどう活かしているかをまとめてみたい。
1 復活する易経
最近の中国は易のブームである。大都市の有名書店には易経のコーナーがあり、年々冊数が増えている。新しい注釈書、発掘された資料、色々な分野への応用、図解や漫画本など関心の広がりを感じさせる。ビジネス向けの本も多い。街や工場を歩くと、「自強不息」(自強してやまず)など易経から取った熟語が、スローガンとして掲げられている。事例をいくつか取り上げてみたい。
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[ 商儒の道を理念に掲げるー清華紫光股イ分有限公司 ] ※ イ分 → にんべんに分
北京市中閑村(ハイテクパーク)にある清華紫光集団は、清華大学の関係者が創業したIT企業である。製品はパソコン、デジカメ、携帯電話などで、上場企業である。当社の会社案内の最初のページにある社是は「自強不息、坤厚載物」という易経からとった文である。清華大学の校是もこれと同じであり、この文を刻んだ石碑が大学の正門入口にある。当社は「商儒の道」(儒教思想を商業に生かす)を唱えている。社是は「文行忠信、恭寛敏恵」、行動準則は「愛、学、誠、廉、公、勤」である。経営理念に儒教的な思想を取り入れている。
[ 天地人の調和―亜食同業聯盟(北京)]
当社北京市で食用茸の開発と生産をしている2003年創業のバイオベンチャーである。中閑村に当社の「食用菌科技センター」がある。ここに研究部門と管理部門があり、培養した菌を農家に販売し委託生産している。北京特産の薬用・食用茸であり急成長している。社長の曹順氏は親日家で古典の素養のある文化人である。当社の企業理念は「人法地、地法天、天法道、道法自然」(人は地に法り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る)。この天地人の思想は老子25章にあり、易経に共通する思想である。また「以人為本」(人をもって本となす)を社是としている。茸産業は自然の摂理にしたがう産業であり、生産を担う農業従事者を大切にする思想があらわれている。
[ 北京の人文オリンピック「人文奥運研究」]
北京オリンピック開催を機会に、スポーツだけでなく、市民のマナー、文化、美観などソフト面の整備を図ろうという運動が起こった。これを人文オリンピック(人文奥運)という。北京のシンクタンクから東京オリンピックの時の情報を提供してくれと頼まれてレポートした。それは「人文奥運研究」という本にまとめられた。
この本で強調されているのは儒教精神である。その要旨はつぎのとおりである。
「文明」や「文化」は、易経の賁(ひ)卦に由来する言葉である。賁卦は山(艮)が上、火(離)が下にある卦で、山に入る西日、顔のひげにたとえられ、美しく飾ることを意味する。これは人に不快感与えないような礼儀作法を守ることにつながる。オリンピックの中核となる思想は「和諧」(フーシエ、調和の意味)である。和諧は国際間の平和、家族間の親睦、人間間の仁(愛和)である。文化の「化」とは、人を変えること、資質を向上させることである。人材育成が根本である(以人為本)。
いま北京市の街頭には、「展奥運人文風采」(五輪で文明の姿を示そう)という標語が掲げられ、トイレの整備、接客マナーの教育、英語ガイドの養成など、この本で取り上げた施策が実施されている。
[ 資生堂の創業の理念 ]
日本では、資生堂が有名である。明治時代には、社名や人名に易経から取ってつけたものが多かった。代表的な企業に「資生堂」がある。これは易の坤卦からとったものである。坤卦の彖伝に「至れるかな坤元、万物資りて生ず、すなわち順いて天を承く。坤は厚くして物を載せ、徳はかぎりなし」とあり、「万物資生」(万物は地の働きで生み出される)から社名を取ったものである。なお病院の順天堂も同じ坤卦(乃順承天)からとっている。
坤卦は、大地をあらわす卦で、象意は従順、地味、女性的、生産をあらわし、女性向きの化粧品会社として最適な社名といえる。当社は社名を変更せず、創業の精神を守りつつ最先端の商品開発をしている温故創新の企業である。代々の経営者は文化を強調しているが、儒教的な文化概念が感じられる。
2 易の理論
@ 易の成り立ち
易は歴史が古く範囲が広いため、その歴史、理論、国別の展開、応用領域について膨大な研究がある。ここでは本稿に必要な範囲に絞って述べてみたい。
易の起源は、殷の時代の占いである。王が祭祀の時期、軍事行動の成否、年の豊凶などを天に占い、その内容が甲骨文に残っている。亀の甲を灼いてひび割れの模様をみて吉凶を判断した。周代になると断片的だった占が体系化され、今日伝わる易経の本文(64卦の説明、吉凶判断)ができた。易には、連山、帰蔵、周易の3種類あったといわれるが、今日まで伝わっているのは周易である。春秋時代に孔子の弟子の儒家がこれに哲学的道徳的な解釈を加えた。これを翼伝といい、10あるので十翼ともいう。なかでも彖伝、象伝、繋辞伝が有名である。易経は本経(上経・下経)と翼伝からなる。また占の道具が筮竹と算木に変わってきた。そこで周易の占法を卜筮ともいう。
このように、易経はもともと占いから出発し、思想としてまとまってきたもので、占術書と思想書という両面をもっている。それが表裏一体の関係にあるので、一方しか見ないのは片手落ちである。易占をしない学者や、易経知らずの易占家が多いのである。
易経は四書五経の一つとして儒教の教科書となり、時代をこえて読まれてきた。易の儒教的解釈を義理易という。代表的な学者は宋代の程頤(伊川)と朱熹である。
易経の占術面は、漢代に数学的、図形的、象徴的な意味が研究された。これを象数易という。これが他の占術たとえば陰陽五行説、干支説とも関係をもちながら、展開していった。当時の占術を術数ともいう。術数は道教が取り入れたので、易は道教とも関係が深い。今日でも、易は道観における道士の研修科目となっている。
易占が広まるにつれて、易占は東洋の占い全般を指すようになり、占星術や、家相、気学まで易といわれるようになった。易占ができなくても易者と名乗れるわけである。いま中国では、本来の易(易経に準拠する占)を「周易」と呼んでいる。
A易の思想
易の思想の特色は、天地人の思想と陰陽説である。
「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず。万物は陰を負いて陽を抱き、沖(ちゅう)気もって和をなす」という言葉がある(老子42章)。無より太極(一)が生まれ、太極より陽(天)と陰(地)の二つが生まれ、陰陽和合し中の気が加わって、万物(三)が生まれるという意味で、これは易経の考え方に通じる。三は小成卦にあたるもので、離や坎の卦の形を見るとそれがよく分かる。道は天地万物を造化するエネルギーであり、「道は自然に法る」とあるように、道は「自ずからそうなる(自然)」という生成力を備えているという意味である。
陰陽説は、陰陽の対立、調和、生成発展という概念によって自然・社会・人間の事象を説明しようとするものである。陰陽の二元論だが、陰は陽、陰は陽を中に含み変化し循環していくという考え方である。二進法の数体系のなかに自然(天)の動き、法則、秩序を見ようとするものである。数字の一、二は算木から生まれたものであり、数には吉凶禍福があると考えられた。
ここに西洋の思考法の違いが出てくる。東洋では、自然と人とが一体化し、人も自然の一部であり、人と自然とが調和する生き方をし、自然のもつエネルギー(生成力)を活用しようとする。物事を総体的有機体的にとらえ、部分(個)と全体のバランス、調和を重視した。また独特の「道」や「気」の概念には、精神と物質とを分けるのでなく、両方の要素をもっている(物にも「いのち」がある)とする考え方がある。そこから、人体は宇宙の縮図(小宇宙)であるという天人相関の思想がでてくる。西洋では、人と自然を分離対立させ、自然の仕組みはどうなっているかを要素に分けて分析し(要素還元主義)、実験し定量化し、設計するという思考法をとった。生命論と機械論との違いともいえる。
易は「仰いで天を観て、伏して地理を察す」(繋辞伝)とあるように、中国古代農耕民族の天地自然の観察の中から生まれたものである。この思想は、自然哲学の面は老荘思想、道教に引きつがれ、人倫道徳の面は儒教に引きつがれた。そこで、易経は道教、儒教に共通する経典となっている。また自然科学的な考察は、今日の天文、地理、医学などの先駆けとなった。易の陰陽八卦説は、鍼灸、漢方薬、病気の治療に応用されている。
B 易占の理論―太極から八卦へ
「易に太極あり。これ両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず。」と繋辞伝にある。太極(宇宙の根源)から陰と陽が生まれ、それが分化して、四象(四季、四方)を生み、さらに八卦が生まれる。八卦は天、沢、火、水、雷、風、山、地を表わす。また数字、性質、身体、方位、時間などいろいろな事象に当てる。
八卦を小成卦といい、その上にまた八卦を重ねると、2の6乗で64の卦ができる。これを大成卦という。易経は、この大成卦に名前をつけ、乾、坤にはじまり未済で終わるよう配列し、各卦爻の説明と吉凶の判断を記したものである。原文は短く難解なので、後世に色々な解釈がなされ、汗牛充棟といわれるほど多くの易経書がうまれた。
易占は、筮竹を使って6つの陰陽の記号(爻という)を出し、その卦の意味をさぐり、吉凶の判断をするのである。たとえば、泰卦が出れば安泰、革卦が出れば変革の時、困卦が出れば困難というように判断する。最古の占例は、春秋左氏傳に載っている。
易の理論を図示するとつぎのようになる。
「大極から八卦の生まれる過程」
3 易を企業経営に活かす
@ 新しい企業観
易の見方からすれば、企業組織は生命体である、自然環境、市場環境の中で、自然の法則にのっとり社会的存在価値(生命力)を持ち、利害関係集団と調和しながら、共生共益を図っていき、永続発展していくものだということになる。私は、これを企業生命論といっている。全と個の調和をはかるホロン経営である。そのような経営を実現することをコンサルティングの目標としている。
A経営への応用
易経の繋辞伝に、易の効用として辞(言葉を尊ぶ)・変(変化を読む)・象(形象をみて制作する)・占(占う)の4つを挙げている。具体的に応用できる分野をいくつか挙げてみたい。ビジネスとくに事業開発への応用はこれからである。
・企業理念の中に易の思想を取り入れる。事例でいくつか取上げた。
・経営者の信念、哲学の拠りどころ。帝王学としての易。64卦それぞれに教訓が
ある。
・企業戦略への応用。「天の時、地の利、人の和」(環境変化、運気)の予測。
・事業開発への応用。陰陽思想は、生命産業、生活産業分野で応用されている。
医薬品、健康(養生法)、環境、食品、農業、自然財(五行説)、エコロライフ
B 占術と経営
私は易占を経営意思決定を支援するツールとして活用している。経営者の相談内容は、今年の見通し(年運)、新事業開発、人の採用、幹部人事、設備投資、引越しや移転、新規取引の可否などである。情報を集め合理的に判断しても、どうしても迷うとき易でみるのである。合理で判断のつかない隠れたこと、未知のこと、先行きどうなるか、リスクなどを気づかせ、決断していいかどうかのガイドを示してくれる。
易占の方法は簡単である。占いたいこと(占的)を決めて、卦を立てる。用具は筮竹を使うが、コインやサイコロでもよい。得卦は64卦のうちの一つである。易経でその形と卦辞を参照し、吉凶を判断するのである。たとえば、新事業開発の成否を易で占って、水山蹇(けん)が出たら、「三大難卦の一つであり、障害が多いので中止したらよい」と判断する。明治時代の外交官・陸奥宗光は日清戦争当時の外交交渉の体験を蹇卦にたとえた。著書「蹇蹇録」の書名は、蹇卦の二爻「王の臣は蹇蹇たり」からとったものである。
易は人が天意や運を知ろうとして発明した手法であるから、摩訶不思議な神託や予言をするものではない。天地自然の原理、法則、秩序(「道(タオ)」の世界)があり、これは人知では理解できない。この世界に近づくために人が発明したのが易占である。易の64卦は、密教のマンダラのようなものである。そのサイン、象徴をみて、神意を知るのである。易経には10字くらいしか書いてない。個々の問題には、自分の知識、経験に加えて感性、霊性を働かせて判断するしかない。易を通じて天命の世界、超合理の世界に触れることは、経営者の創造力を開発し、先見力洞察力を高めることにつながる。
易には東洋の暗黙知がつまっている。エコロジー文明を支える古くて新しい思想である。これに新しい科学の光をあて、現代に活かしたいと考えている。
参考文献 「易経上下」岩波文庫(高田・後藤著)または朝日文庫(本田済著)
本田済「易経講座」斯文会、 財界人への程頤(伊川)「易伝」の講義録。
日本創造経営協会「人づくりの経営」(中央経済社)
笠原維信著「易経入門」三空出版
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