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  1978年福岡生まれ。17歳で『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説ノンフィクション大賞を受賞し、衝撃のデビューを果たす。

著作リスト

夏と花火と私の死体 2000年
石の目 2000年
暗黒童話 2004年
暗いところで待ち合わせ 平成14年

夏と花火と私の死体          集英社文庫  2000年

  この物語は、作品の冒頭で早々と死体となってしまった『私』の視点で描かれています。なんとも妙な感じ。別に悪霊となって犯人たちに仕返しするような感じではなく、ただ淡々と第三者的に語ってるんですよ。『私が幽霊だったころ』のノリかしら?
  夏祭りを間近に控えた田舎の村の夏休みのひとこま。9歳の私は、仲良しの弥生ちゃんとそのお兄ちゃんの健くんと夏休みを楽しく過ごしていました。やさしくて頼りがいがあるので、私は健くんが好きでした。どうやら弥生ちゃんも健くんのことを好きみたいです。でも、兄妹なので弥生ちゃんは複雑な感情を抱え込んでいます。そんな時に私が『私もね、健くんが好きなの・・・』なんて告白しちゃったもんだから、弾みで木の上から突き落とされちゃって、私はあっけなく死んでしまいました。それからが大変。幼い兄妹は、必至に小さな頭を絞って、死体隠匿のために奔走します。

石の目          集英社文庫  2000年

  石の目・はじめ・BLUE・平面いぬ、の4つの短篇を収めてます。
  石の目は、なんか幼い頃に読んだ怖い妖怪のお話を思い出してしまいました。はじめは、ちょっとファンタジーっぽい感じでいいです。BLUEは、なんともいいがたい性悪な性格を個々に与え、それによって純粋な者を引き立たせるという見事な作品になってます。考えさせられます。平面いぬは、予想していた話とは違ったものの、家族というものを改めて考えさせられ、ついほろりとしてしまいました。

暗黒童話          集英社文庫  2004年

  事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生・菜深。祖父の計らいにより、闇ルートで手に入れた眼球を移植される。が、やがてその瞳が様々な映像を菜深の脳裏に映し始める・・・。それは生前その眼が見てきた『記憶』の断片だった。その映像に導かれるまま、菜深は奇怪な事件の渦の中に引き込まれてゆき・・・・・

登場人物の童話作家の代表作という設定のものが、物語の中にサンドされてて、これまたその童話がとってもエグくって・・・

暗いところで待ち合わせ          幻冬舎  平成14年

  限られたスペースの中で密やかに進行する物語。少し切ない感じのする作品。
  数年前に視力を失い、一人暮らしをするミチル。一人での外出も避けるようになり、光の射さない暗闇の世界で、家という殻に閉じこもっている。外界との接点は、親友のカズエが週に一度買出しを兼ねて連れ出してくれる時のみ。カズエは積極的に行動しようとしないミチルをもどかしく思ってる。そんな中、ミチルは暗闇の中に『他人』の気配を感じ取る。目の見えない自分は不利だと考えた彼女は、それには気づかないフリをすることにした。それから奇妙な同居生活がはじまった。
  いったい誰がそこにいるのか?そして目的はなんなのか?わからぬまま時は過ぎ・・・避けられない運命の糸がミチルを包み込み、そして動き出す。