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 私の家づくりノート 3.知っておきたい構造・設備
高 気 密

  ■気密にかかわる論点
■防湿と気密
■「高気密」の基準
■高気密の目的
 ●熱ロス
 ●計画換気
 ●超「高気密」の意味
■高気密住宅をお望みの方へ
 ●室内空気汚染の注意
 ●換気量の確保
 ●気密測定
■呼吸する壁

 最近は「高断熱・高気密」をうたう住宅が増えています。気密性が良くてすきま風がない暖かい住宅に住みたい、と考えるのは私も同感です。高い断熱性を求めるのも当然です。 
 しかし、ではなぜ「高気密」なのでしょうか。その理由を理解している施主、正確に説明できるハウスメーカーはあるでしょうか。

■気密にかかわる論点
気密性にはいくつかの点が関係しています。そしてそれが気密性理解の誤解の要因にもなっています。

 1.断熱材(とくにグラスウール)で断熱すると壁内結露するのはなぜか、
 2.壁内結露防止のために行う「防湿」は「気密」とどうちがうのか。
 3.いったいどこからが「高」気密なのか
 4.そして、高気密が必要な理由はそもそもいったいなんなのか

 1.は<断熱と結露>の項を参照下さい。ここではそれ以外の点について述べます。


■防湿と気密
「防湿」と「気密」とは言葉が違うように、目的が違います。
防湿」は、水蒸気が室内から壁の中に入りづらくすることです。その「入りづらさ」をどの程度にする必要があるかは、断熱の程度と室内・外気の温度差とで決まってきます。詳しくは<断熱と結露>の項を参照下さい。
これに対して「気密」は、すきま風をなくすることです。水蒸気だけでなく空気全体を出入りしづらくすること。

しかしどちらもよく似ています。
防湿は「防湿シート」と呼ばれるポリエチレンシートを壁などに張ることで行います。他方「気密」をとるために張られる「気密シート」もそれと同じ材質のポリエチレンシートです。
両者の違いはその厚さで、「防湿」用は0.05mm以上、「気密」用は0.1mm以上、最近の気密用は0.2mm以上が主流のようです。だから防湿と気密とが似ているのは当然です。厚さが違うことで、水蒸気や空気の遮断程度が違っている、というのが両者の違いです。だから「防湿」すると「気密」性も向上します。

以上のところがまずよく誤解されてます。「内部結露防止のために高気密にする」というのは間違っているのです。内部結露防止のためにはあるレベルの防湿が必要なのであって、その結果気密も向上するのです。


 
■「高気密」の基準
どこからが「高」気密なのか。

住宅金融公庫仕様書には「気密住宅」があり、その定義は、床面積あたりの平均隙間面積、すなわち相当隙間面積(いわゆるC値)が5cm2/m2以下となってます。かつてはこれが高気密住宅のひとつの基準でした。

しかし最近の「高気密」の水準は相当隙間面積が2(cm2/m2)以下のことを指しています。今や「高気密」とはこの水準を指します。
しかもメーカーによっては、さらにこれを超えて気密性向上が追求されてます。それは、超「高気密」というべきでしょう。


■高気密の目的
ではそうした「高気密」の目的はいったいなになのか?
ここにも多くの誤解があります。


●熱ロス
気密を高めるとすきま風が減少します。隙間風があると熱ロスがあるわけで、隙間風が減れば熱ロスも減少することになります。この点については<熱ロスの計算>を参照下さい。
気密を高めていくと、家全体の熱ロス(Q値)が下がっていって、燃費がよくなります。気密向上は燃費向上のためにあると言っていいわけです。この現象は、先の「気密住宅」の基準程度(相当隙間面積5cm2/m2)まで継続します。

では気密を向上させていくと、熱ロスはどんどん減っていくのか?
一見すると熱ロスが低下していくように思えます。しかしそうではないのです。
人間が生活するには一定程度の換気量が必要です。通常は2時間に1度、家中の空気が入れ替わる(0.5回/時)程度の換気が必要とされています。気密が低く隙間風が多ければ、隙間風がその換気量を確保してくれますが。しかし気密性が向上してすきま風が減ると、その換気量を確保するために、隙間風に代わって機械による換気を行う必要が出てくる。詳しくは<換気>及び<換気の計画>を参照。

家の気密性を向上させて隙間風を減らしても、今度は機械換気による換気があるのですから、ある水準以上の換気=熱ロスは免れません。実際には5cm2/m2以下に気密性を高めても、今度は機械換気での換気量が一定程度あるから、省エネ効果はないのです。省エネ(熱ロス削減)のために、5cm2/m2以下の高気密にするという説明は誤りなのです。


 
●計画換気
省エネ=熱ロスの低減のためではないとしたら、では何のために高気密が必要なのか、またどの程度の高気密が必要なのか。

結論を言うと

・機械による計画換気(第3種換気)を行うためには2(cm2/m2)程度以下の気密性が必要だ。
・高断熱・高気密派の専門家はその水準以上の追求は意味がないと考えている。

先の気密シートをきちんと施工すれば、相当隙間面積(C値)は2cm2/m2程度の水準になるようです。気密が高い住宅では必要な換気量を確保するために機械換気を行いますが、この程度の気密になると、室内と屋外との温度差や風の影響によって隙間からの自然換気量が変動することがほとんどなくなり、機械による換気で換気量が安定するようになります。それが「高気密」の目的です。この点詳しくは<換気の計画>を参照下さい。


●超「高気密」の意味
問題は、さらにそれ以上の超「高気密」はいったい何のために必要なのかです。1cm2/m2を切るようなレベルの高気密では、不快な隙間風を防止ぐという意味での隙間風はとっくに問題外ですし、またすでに述べたように熱ロスの問題とも関係有りません。気密性を非常に高くして計画換気の非常に精度を上げることにはどれだけの意味があるか、です。
住宅で完全に近い換気のコントロールを行うことにある意味は何でしょう。


■高気密住宅をお望みの方へ
●室内空気汚染の注意
気密性が高いと室内空気質の問題がハッキリと出てきます。

昔の家は気密が悪く、すきま風だらけでしたから、そうした家ではたとえ少々の室内空気の汚染があったとしても有害物質は家の外に出ていってしまったでしょう。しかし気密性が良くなると、それらが室内にこもってしまって、モロに居住者に影響が出てきます。高気密住宅がもてはやされていますが、その反面で室内有害物質排除の対策が不十分であるために、問題が生じている例が非常に多いです。

しかし建材などなら発生する汚染物質は機械換気だけでは排出しきれません。高気密化に対応して室内環境には高い注意が必要なはずです。この点については<ホルムアルデヒド>の項を参照下さい。


●換気量の確保
換気の必要はホルムアルデヒド排出のためではなく、新鮮空気の確保のためです。現在の住宅はみな気密が高くなってます。だから機械換気が必要なのですが、この設計をきちんと行うメーカー、設計者は少ないようです。換気量の設計もそうですし、室内の空気の流通についてもそうです。
この点、詳しくは<換気>および<換気の計画>を参照下さい。


●気密測定
熱ロス(Q値)は計算で出すので設計段階でわかりますが、C値は実際に測定しないと解りません。
そこで高気密住宅(高「高気密」ですが)を販売しているメーカーは入居前に測定をしています。高気密の程度を本当に知りたいなら、実際に測定された方がいいと思います。

ただし気密性確保には気密シートと気密テープが用いられますが、テープについてはその性能がいつまで保つのか保証がありません。入居前の気密性能がいつまで継続するのかは保証の限りではないでしょう。


■呼吸する壁
このページには気密性向上のことばかりが書かれています。ここで改めて気密性向上の意味と注意を喚起します。

断熱性を向上させると内部結露防止のために壁内の防湿が必要であり、防湿の結果として気密性が向上するということを述べました。気密性向上の第1の理由はここです。加えて、熱ロスの低下のために気密住宅が提唱されています。
気密性の向上それ自体の目的は、「すきま風」を防止して住宅の熱ロスを少なくすることです。ところがこのことから、だから高気密住宅が必要だ、と結論づけるのは早計です。必要な換気を確保するため、あるレベルの熱ロスは必ず出てくるからです。
ここがどの程度の高気密住宅が必要なのか、考えるべき1つのポイントです。

ところで、高気密住宅が普及する一方で、建材から放出される有害物質の問題が放置され、健康被害が今も出ています。(健康被害は高気密住宅だから出るのではなく、高気密住宅ではとくに問題になるという意味です。)
この解決策は、安全な建材を用いて、有害物質の放出を限りなくゼロに近づけることです。このことなしに気密性を向上させることは危険です。

考えたいことのもう1つ。それは、壁の呼吸です。かつての日本家屋は土壁(粗壁)でした。この壁は吸放湿性があり、これが構造材にはプラスでした。気密性向上は壁の吸放湿を妨げ、構造材にマイナスである場合があります。気密性を確保しつつ、この問題をどうクリアするには、通常の高気密住宅とは異なる方法を検討しなければなりません。
拙宅でのこの解答は、家づくりノートの<自然系断熱材>やわが家のこだわりと工夫の<安全な自然系断熱材で「高の下」断熱を>を参照下さい。
(2003/11/28追記)

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1999/12/13 open
2002/5/17 修文
2003/11/28 追記