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■処理方法 |
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| 拙宅の構造材、柱・土台は4寸角です。この程度の木造住宅で50年は持たせたいですし、構造上それは可能です。しかし重大な問題はシロアリ対策です。シロアリにやられると持ちこたえられません。 シロアリ対策のために土壌への薬剤散布や土台付近の木材の薬剤処理が一般に行われています。しかし、これには非常に危険なものがあります。そうではない方策はないのでしょうか。 ここで扱っている問題は植村振作+反農薬東京グループ『床下の毒物シロアリ防除剤』(三省堂、1999年)などに詳しいので、ぜひお読み下さい。 |
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| ■処理方式 | |||
| ●土壌処理 シロアリ防除剤の土壌散布がよく行われます。これは非常に問題です。住んでる人に被害が出ているケースが多くあります。しかも住人だけでなく、近隣の人にも被害を出しているのです。 ●塗布方式 防蟻・防腐剤を材木に塗布する方式はどうみても危険と思います。発散したその毒を人間が吸い込んでも安全だという保証はないんですから。 しかも塗布した薬剤は5年程度しかもたないとのこと。5年経ったらどうするんでしょう。新たに塗布するというのでは、あまりにも危険です。 ●加圧注入方式 多くの加圧注入式はCCAという薬剤で、これは後述のように劇薬です。 毒性の低いACQを用いるものもあります。 |
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| ■防蟻剤 | |||
| ●CCA | |||
| 加圧注入式に用いられる薬剤。これにはヒ素・クロム・銅が入っています。ヒ素は、例のカレー事件で使われたものです。劇薬です。 こんなものを人が毎日暮らす住宅に使うのは、危険だと私は言い切ります。 30年前から使われているそうで、それらが建て替え時期に来て、解体後その廃材を焼却するとヒ素や六価クロムが煙になって出るはずです。どうするんでしょう。 実際これはすでに起こった問題です。阪神大震災で倒壊した家屋を野焼きして処分した際にです。 重金属や化学薬剤で腐食を防いだ木材はそれ自体が有害廃棄物になるので、リサイクルにも回せません。 |
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| ●ACQ | |||
| CCAに比べればACQの方が毒性は低い。でも毒性はあります。ないと防蟻にならないですから。 その主要成分であるDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)の毒性は以下のとおりです。 1.急性経口毒性 LD50 = 1.1g/kg (ラット) 2.急性経皮毒性 LD50 = 3.19ml/kg (ラット) LD50とは、ラットに与えてその50%(半数)が死ぬ量のことで、それが 経口(口から飲む)では体重1kg当たり1.1g、 経皮(肌に塗る)では体重1kg当たり3g(比重は約1)ということです。 解りやすく言いうと、体重を50kgとすると、 ・55gを飲んだら半数は死ぬ ・150gを肌に塗ったら半数は死ぬ ということです。かなりの量を塗らないと死にはしない。急性毒性は弱いということです。 これは塩素を含んでいるので、廃材を焼却するとダイオキシンが発生する可能性があります。 |
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| ●ピレスロイド系 | |||
| 除虫菊の殺虫成分(ピレトリン)を化学合成したもので、数種類あるのでピレスロイド系と総称する。 蚊取り線香や家庭用スプレー殺虫剤の多くに利用されている。 昆虫に対しては神経毒として作用し、魚毒性も高い。 人体への急性中毒症状は、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、耳鳴り、傾眠(強い眠気)などがあり、重症になると呼吸困難、ふるえなどを起こす。皮膚過敏症、気管支喘息、鼻炎、結膜炎を起こすこともある。 温血動物には低毒性と言われているが、慢性毒性試験データは明らかになっていない。 効果を強めるために混入される共力剤として使用される薬剤には、危険度の高いものがある。 ピレスロイド系は多くは残効性が小さいが、残効性が高いものにペルメトリンがある。 1973年に英国国立研究開発公社(NRDC)が開発したもので、残効性に非常に優れるのでパーマネントなピレスリンという意味で「パーメスリン」と名付けたとのこと。 国内ではペルメトリンとして製造され、家庭用殺虫剤では、ハエ、カ、ゴキブリ用のエアゾール剤、畳ダニなどの燻煙剤にもなっている。 アメリカ化学アカデミーは、これを発ガン性の危険度が高い農薬としている。 |
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| ■公庫仕様では義務か? | |||
| 公庫は薬剤処理を義務化していると思われています。防蟻対策については、いまだに誤解されてるところです。 実は、公庫は薬剤使用を「義務」にはしていないんです。 『木造住宅共通仕様書』をご覧ください。(「解説付き」の「共通仕様書」は施主の必読文献です)。 「防腐・防蟻措置」の仕様では、 木部の防腐・防蟻措置は以下の2つになってます。 ・ひば、ひのき、すぎ等の耐腐朽性及び耐蟻性のある樹種を用いる ・又は薬剤処理 それらの材木を使えば薬剤は使わなくていいのです。木の耐腐性・耐蟻性については<木材のちがい>を参照下さい。 また地面への防蟻措置は、以下の2つの方法があります。 ・べた基礎 ・薬剤処理 ここでも薬剤処理だけが防蟻措置ではありません。 防蟻措置は基準金利適用の「耐久性」仕様の場合に義務です。(共通仕様では「義務」ではありません(波線が付いてない。))。しかし薬剤以外の措置があることを、工務店も設計士もいまだに誤解しています。その誤解の要因は公庫と建設省にあるのですが、ここでは省略します。 |
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| ●建設省の提唱 | |||
建設省は防蟻・防腐措置として以下の4つを挙げてます。
すなわち、耐犠牲・耐腐性の大きい材木を用い、できるだけ乾燥した状態を保つこと、そして木の状態をいつでも確認できるようにすること、1〜3の方策をしっかり立てることで十分可能なのだと考えます。 逆に薬剤注入されていると絶対大丈夫ってことではなく、シロアリが寄りつきづらくした上で、点検を怠らないというのが、結局最大の防御法(メンテナンス)ではないかと思います。 人間に絶対安全、かつシロアリに絶対有効ってことはないのだろうと思います。メンテナンスというかシロアリの目視での点検を怠らないことが、最も有効な対処方法と思います。 木の乾燥を保て、木の状態を確認できる、そうした家の構造にすることはシロアリ対策に重要です。木造真壁構造はそのための知恵であると考えます。(2002/3/5追記) |
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| ■防除業者の提案 | |||
| シロアリ防除業者、(有)ハウスキーパー(サイトはこちら)の島津正気さんは、ご本人がシロアリ駆除剤の被害に遭って、それで安全性の高い方法へと方向転換したそうです。 足立和郎編『ナチュラルハウスをつくろう』(白馬社)で、シロアリはとても信じられない食害をすると言った後、次の点を指摘してます。
そして「本来、白アリの予防対策は、薬剤処理への依頼よりも、この床下環境からの視点こそが、白アリの予防を含む、家造りの出発点と思う」と書いています。ここのところは大切だと思います。 同社は駆除方法として、木部にヒバ油、土壌に木酢液を使う方法も採用しています。しかし木酢液は希釈率を間違えると危険なこと、CCAを含んだ廃材からつくったヒバ油もあるので注意しないと恐ろしいことを同書の中で指摘しています。 木酢液もヒバ油も毒性があるから虫に効くわけです。沖縄の植物からの月桃油というのもあるそうです。 反農薬東京グループの『住宅が体をむしばむ』には、粗製木酢液にはタールが入っててベンツピレンなどの発ガン物質があること、ヒバ油、月桃油は検討不十分とあります。また木酢液も表面に塗るだけなら数年しか効果がないようです。 使うならこういうものがある、という程度に理解した方がいいですね。 |
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| ■シロアリの種類 | |||
| 日本のシロアリには主要には2種類あって、北海道を除く全国にいるヤマトシロアリと暖地にいるイエシロアリです。イエシロアリはだんだん北上しているようで、「静岡県以南に分布するとされていましたが、最近では、神奈川県下でも生息・被害が確認されています」とのこと。 ヤマトシロアリは地上に近い部分の湿った木材の中にコロニーをつくります。また湿ると木が腐りますが、腐朽菌の出す物質がヤマトシロアリに誘因作用があるとのことで、湿気を防げばヤマトシロアリはかなり防げると思います。 他方、イエシロアリは水を運ぶ能力があって二階から屋根裏まで食害するとのこと。 湿気は全然関係なくて、そうとう手強い。 |
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| ■ベイト法 | |||
| 駆除薬剤を含ませたエサを一部の蟻に与えてコロニー全体を死滅させるという方法です。これはイエシロアリには効果が大きいとのこと。これだと薬害は非常に少なくて済むそうです。 シロアリはフェロモンという物質を出して餌場を仲間に伝えます。その性質を利用して、シロアリを誘導し、薬剤を食べさせてシロアリのコロニーを根絶するというものです。薬剤である「ヘキサフルムロン」は、昆虫成長制御剤(IGR)の一種で、昆虫の外骨格(身体表面の殻みたいなのが昆虫の骨格)の主成分であるキチン質の合成を阻害する働きがあります。「キチン合成阻害剤」と書いてます。薬で即殺すんではなくて、殻を作れなくして、脱皮を阻害するのです。それで結局はシロアリが死ぬ、ということのようです。 メーカーのサイトには安全性・危険性も紹介されてますが、人への毒性は少ないようで、また薬をまき散らすことがないので人やペットに対しても安全性が高いのでしょう。またシロアリのフェロモンはたぶん、人間には効かないと思います。 |
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| ■インフォームドコンセント | |||
| 医療用の薬はすべてに副作用があります。手術にも危険性が伴います。ですから医者は患者にそうした内容を説明し、患者の了解を得た上で治療をするようになってきました。インフォームドコンセントです。 これと同様のことが住宅建築にも当てはめることができます。納得できる家づくりのためです。 ところがシロアリ防除のみならず、住宅に用いられている薬剤が居住者に与える毒性を説明できる人はまずいないと思います。そもそもデータもないのが現状です。また施工者がその有害物質の使用実態を知らずに、作業中に問題が出るという可能性もありそうです。 ドイツやスイスでは建材の生産から廃棄まで含めて、その安全性やコストをカタログ化していて(インベントリー)、関心のある人はそれなりにアクセスできようになっているそうです。そういうレヴェルまで行かない段階の日本では、インフォームドコンセントと言っても絵餅です。 |
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| ■拙宅では | |||
| じゃあ拙宅では?ということですが、目下検討中。 べた基礎で基礎立ち上がりを高く(60cm以上)し、基礎パッキンを用いて床下をできるだけ乾燥させる。 土台はヒノキチオールを含んだヒバを用いる。その他の構造材はスギ。 防蟻板という、基礎と土台との間に銅板をはさむ方法を採用を考えます。(「健康な住まいを手に入れる本」から。) 床下点検口を設け、床下や土台外の点検を怠らないようにします。 |
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2000/1/7 2000/1/9 インフォームドコンセントを有田さんの指摘を元に追加。 2000/5/30 「シロアリについて」のサイト等を追加。 2000/12/9 ピレスロイド系等を追加 |
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