■内断熱と外断熱はどちらが有利か
■暖房負荷と冷房負荷
■RCでの結露との関係
■木造外断熱と付加価値
■木造外断熱と木の呼吸
■内断熱と外断熱はどちらが有利か
内断熱と外断熱(木造では外張り断熱とも呼ばれる)とのどちらが良いかという議論があります。この点では大きな誤解があるようです。
結論から言うと
・コンクリート造やブロック造の場合には熱容量が大きいので、外断熱が有利な点がある。
・全室暖房を前提とすると、外断熱の方が室内温度の日較差が少ない。
・内部結露に有利だ(これは重要)。
これに対して木造住宅では、木材だけの蓄熱性はあまり期待できないので内断熱と外断熱との差は小さい。木造住宅の場合、土間とか土壁など蓄熱量の高い素材を用いない限り、温度変化にはコンクリート造のような影響力がないです。
木造での外断熱のメリットは
・同じ断熱材の量で断熱効果が15%程度向上する。
・気密工事の気密シートを張る工事がしやすい。
しかし
・「次世代」程度の高断熱にするには断熱材の種類が限定される。
という問題もあります。
山田雅士『建物の断熱』(井上書院)にそうしたことが書いてあります。同氏の『結露をとめる』(同)にも同様の記述があります。前者の『建物の断熱』などから外断熱についてさらに紹介します。
■暖房負荷と冷房負荷
外断熱での暖房の効率のよさは、次の3点がある場合に意味があるそうです。
1.断熱材の室内側をコンクリートのように熱容量の大きい材料でつくる。
2.外側の断熱層は十分な伝熱抵抗を有する。
3.連続暖房あるいは比較的長時間の間欠繰り返し暖房である。
暖房負荷自体は外断熱も内断熱も大きな違いはないが、暖房の使用法によって差が出てくるということです。しかも住宅の場合にはその差が現れやすい。単室暖房や暖房の短時間運転の場合には外断熱の意味がない。暖房設備の貧弱な建物では外断熱の有利性は発揮できない。本州以南では暖房レベルが低いから外断熱の効果が低い。とのこと。
暖房負荷と同様に冷房負荷も外断熱と内断熱では大差がない。ただし、夜間に外気を導入して蓄熱層に蓄冷するならば、外断熱が有利になるそうです。
■RCでの外断熱と結露との関係
●夏の結露
コンクリートは熱容量が大きいので温度変化が遅い。それで、朝、室内温度が上昇しはじめると、コンクリートの温度が夜間の冷却のために低いので、それに「表面結露」することがある。この現象が湿気の多い梅雨期や夏に起こるそうです。
そこで、内装仕上げには熱容量が小さく室内温度に追随しやすいもの、また結露を想定して吸放湿のよい材料で仕上げるのがよいと指摘されてます。
●冬の結露
冬期にも、外装材の透湿抵抗が高いと、外装材と断熱材との境界を中心にして「内部結露」するそうです。例としてメタルサイディングが上げられてます。サイディング系は同様でしょう。
防止方法は、室内側に防湿層を設けることか外気側に流通通気層を設けることとのこと。内断熱と同じですね。
■木造外断熱と付加価値
外張り用の断熱材は一般には石油発泡系のボードを使いますが、その価格は断熱性能が同じグラスウールの3倍程度かかるようです。同じ厚さの断熱材を外張りにしたことによる断熱性能の向上は15%程度です(<熱ロス>を参照)。これだけではメリットはほとんどないのに、3倍ものお金を掛けるのはどうも出費が大きすぎると考えると、何かの付加価値が求められます・・・経済的メリットの必要?
他方で、木造在来工法の建物の場合に外張り断熱にすると、内断熱(充填断熱)のときには断熱材が詰まっていた柱の間の空間が空洞になります。そこで、この家の外周部を囲む空洞部分をせっかくだから何かに使えないかなあとと、つい日本人的に考えてしまいます。木造の外張り断熱が「エアサイクル」から始まったのはこうした理由からでしょう・・・技術的欲求?
外断熱の一番の問題は、高価な断熱材を用いなければならないことだと思います。そこで外周部の空洞を積極的に使って付加価値をつける方向と結びついているようです。「エアサイクル」や「エアーサーキット」のようなパッシブソーラーです。
木造での外断熱は本州でのこうした高断熱住宅で発展してきたものです。
■木造外断熱と木の呼吸
なお、外張りの場合、柱が断熱材にくるまれてないですから、木が呼吸(吸放湿)しやすく、木にとっては良い状態をつくることも可能と思えます。
しかし、その呼吸による湿気の出入りが室内や外気とやり取りできるような状態になってないと、効果は少ないと考えます。柱の外側に防湿層を設置すると、外気とは水蒸気のやり取りはほとんどない。室内側に石膏ボード、その上に塩ビクロスでは、室内側との水蒸気のやり取りも少ないでしょう。そういう状態では内断熱と比べて木に良い状態だとは言えないと思います。
柱が室内に露出する真壁方式の方が木材の呼吸には良いと思います。
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1999/12/17