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やまびこさんのおくりもの
御杖の子供のためのむかしばなし

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元旦火

 むかし、ある村に、貧乏なじいさまとばあさまがいました。
 ある年のくれのことです。じいさまとばあさまの家では、お正月がくるというのに、節季ばらいも、正月回りもできませんでした。ふたりはいろりに薪を盛んにくべてあたたまりながら、首をすくめて、ただ夜が明けるのを待っていました。
 すると夜中に、家の戸をとんとんとたたく音がしました。あけてみると、きたないかっこうをしたお坊さんが立っています。お坊さんは、
「道にまよって、こまっています。どうか、ひと晩、泊めてください。」
といいました。じいさまは、
「うちは、ごらんのとおり貧乏で、ろくに食べるものもありません。」
といって、ことわりましたが、お坊さんはすうっと家の中に入ってきました。
 お坊さんは、みずばなをすすりながら、しばらくいろりばたであたたまっていましたが、そのうち、横になりました。声をかけても返事がないので、気になって顔をのぞいてみると、お坊さんは横になったまま、死んでいました。
 じいさまとばあさまはびっくりして、どうしたらよいかこまってしまいました。
 死んでしまったお坊さんをこのままにしておけないし、お葬式をするお金もないので、ふたりはお坊さんをいろりの火で葬ることにしました。
 手を合わせて、お経をあげてから、じいさまが、
「えい。」
と、お坊さんを火に入れました。そのとたん、大きく燃え上がって、その灰は小判に変わっていました。
 じいさまとばあさまは、びっくりしましたが、大喜びして、すぐに節季ばらいをすませ、めでたく正月を迎えたと言うことです。

 それから、この村では、毎年大晦日の晩に、氏神さんの境内で大きな木を燃やしてとんどをし、村人は楮の木にもちをつけてあぶって食べながら夜明けを待つそうです。こうすると、家が栄えるといわれています。

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