日本一のホラ吹き男

1964.06.11併映・喜劇駅前怪談
93分 カラー 東宝スコープ


スタッフ
製作      渡辺晋 森田信
監督     古沢憲吾
監督助手   坂野義光 渡辺邦彦 河崎義祐
脚本     笠原良三
撮影     飯村正
音楽     宮川泰 萩原哲昌
美術     小川一男
美術助手   安藤富次郎 本田清方 酒井賢
録音     増尾鼎

キャスト    
初等     植木等
つね     飯田蝶子
南部可那子  浜美枝
増田益左衛門 曽我廼家明蝶
大野総務部長 山茶花究
古井資料係  三井弘次
山田富子   中真千子
井川     谷啓
宮本     安田伸
西條社長   江川宇礼雄
清水花江   草笛光子
山下教授   高田稔
本屋のおやじ 坂本武
陸上のコーチ 田島義文


前期〜中期のスタイル固定!
浜美枝ヒロインに昇格!

「日本一の男シリーズ」第2弾! いくつかの設定がほぼ固定となり、シリーズ中期までのプロトタイプ的な存在の作品でもある。どんな設定が固定されたかと言うと、まず主人公が「正体不明な男」から「素性のはっきりした男」に変化したこと。ちなみにこの作品では「西北(早稲田)大学の学生。三段跳びの選手でオリンピック候補」と実に立派な肩書き。「無責任野郎」の住所不定、無職、銀行でお茶飲んじゃう男とは偉い違いである。ま、もっともこの作品でもずうずうしくあがりこんだ本屋で「そば」を注文させると言うシーンがあるが……。ともかくあの「無責任男」とは明らかに違う男が主人公になっていた。

その理由としては、脚本の「笠原良三」が「ホラばかり吹いて努力もしない男は共感できない」といったことから、これまでの「無責任男」とは違う「超モーレツサラリーマン」となったんだそうだが、長い目で見た場合それは正解だったようだ。

それと前作「色男」では脇役気味だった「浜美枝」がヒロインに昇格。(もっとも彼女は前年製作の「くたばれ無責任!」でヒロインに昇格しているので、あくまでも「日本一の男シリーズ」ってことで。)

加えて言うなら、本作の浜美枝は実にかわいい。本当にいい女である。確かに登場こそツンケンしているものの、一度主人公に心を開いてからというもの、ひたすら主人公を信じて、また思いやる女性となっている。ま、ラストの洗面器に関してはその愛ゆえの出来事だったと好意的に解釈しておこう(笑)。特に2人の西武園でのデートシーンで、ボートに乗りながら「学生節」を歌う主人公を、ボートをこぎながら見つめる彼女の「愛しそうに」「たのもしそうに」見つめ、微笑む彼女は最高である。

その他として、是非ともあげておきたいのは「古澤流」の飛んでくるでかいタイトルロールのスーパーもこの作品から始まっている。そう古澤憲吾監督作品のクレジット・スーパーは何故か異常にデカいのだ。通常作品の1.5倍から2倍くらいの大きさなんである。恐らく「ギネスブック」に「クレジットスーパーの最も大きい映画」という部門があれば、掲載されているはずだ。で、そのギネス級のスーパーが画面が壊れるんじゃないかと言う勢いで飛んでくるんだから、アレはほとんど脅迫とか、威嚇に近いものがある。まぁでも、昔、浅草東宝ではこのスーパーのあまりのデカさに場内が大爆笑していたのを思い出す、スーパーの大きさだけで笑いがとれるのは、世界中探しても古澤監督ひとりだろう(笑)

さて、ストーリー的にはというと、前半〜途中までは申し分ない面白さ! とはいえ、個人的にはクライマックスの「ナイロニアダム」をめぐる話になってからは主人公が相当普通の男になってきたような気がして、ほんの少しだれてしまうのであるが…。

ただ、作品全体に流れている雰囲気はとてもいい。6月公開だから、ちょうどロケは春爛漫という時期に行われたんだろう。そんな春のうららかな雰囲気が画面全体、物語の全体を覆っていて、とても気持ちがいいのだ。東京オリンピック直前。戦後日本がまさに春爛漫の時代の作品である。

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