早い話がこれです!


ここでは、このサイトのタイトルにもなっている「トーホースコープ=東宝スコープ」について説明しよう。「東宝スコープ」とは東宝が開発したワイドスクリーンの映写方式の事。スタンダードと呼ばれる、ワイドスクリーン登場以前の画面の縦横の割合(アスペクト比と呼ばれる)が、普通のテレビ画面とほぼ同じ縦1・横1.37の割合で構成されるのに対し、「東宝スコープ」のアスペクト比は縦1に対して、横2.35と、グググッと横広のサイズなのが特徴だ。なんと横幅拡大率170%以上! 写真やテレビなどで見るとそれほどでもないのかもしれないが、(テレビの場合は、ワイドはスタンダードよりも画面が小さくなるし…)劇場で見ると、そのパノラマ感といい、迫力といい雲泥の差だ。そしてそれはまさに「劇場で見る映画」ならではの醍醐味なのである。

スタンダードサイズ(縦1×横1.37)

東宝スコープ(縦1×横2.35)

東宝で初めてこの方式が採用されたのは1957年7月封切りの「大当り三色娘」。で、なぜこんなものが生まれたかと言うと、今(2003年)から50年前の1953年2月1日、NHKによるテレビ放送が始まった事が大きな原因と言えるだろう。当時、まだテレビは高価で、普及なんぞはまだ先の話と思われていたものの、映画業界はテレビを大きな脅威と見なしていた。(ま、結果的にはそうなるわけだが)で、その対抗手段のひとつとして考えたのが、画面のワイド化なんである。

もっとも、画面のワイド化はテレビ先進国でもあったアメリカの方がずっと先で、1953年に製作された(日本公開は1954年)20世紀FOX作品が第1号。FOXではこの方式を「シネマスコープ」と呼んでいた。だからこのワイドスクリーンのことを通称「シネスコ」と呼ぶようになったというワケ。が、この「シネスコ」、FOXがパテントを取っていたため他社では使えなかったんだな。

しかたがないので各社が独自に研究開発して、それぞれの「なんたらスコープ」を作ったのだ。「東宝スコープ」もその中のひとつになるワケだ。日本映画でいうと日活が「日活スコープ」東映は「東映スコープ」なんていう社名をいれるのがスタンダードだったんだけど、中には松竹の「松竹グランドスコープ」とか新東宝の「大シネスコ」(笑)なんて愉快な呼び名をしている会社もあった。ちなみに日本映画の第1号は、1957年4月と東宝に3ヶ月ほど先行して公開された「鳳城の花嫁」。

ここからは技術的な説明をしよう。いくらそんな最新技術もカメラや映写機なんかの機材をすべて買い換えなくてはいけないようでは、コストもかかるし普及しづらい。(テレビはちょうど今、地上波デジタル化に向けてそれをやっているが、どうなる事やら…)その点、この映画のワイド化はふるっていた。というのも、カメラは今までのまま。レンズだけで対応してしまったのである。通常のレンズから「アナモフィックレンズ」と呼ばれる特殊なレンズに換装することで、ワイド化できてしまったのである。どういうことかというと、アナモフィックレンズは画面を圧縮、または解凍するレンズなんだな。つまり、撮影のときは画面の横幅をぐっと圧縮して、縦長のスタンダード画面で記録。これを映写のとき、再びアナモフィックレンズで解凍し、ワイド画面で映写するというシステムなワケ。つまり、レンズだけの追加投資でOKというスグレモノだったのである。

アナモフィックレンズで画面の横幅を圧縮・解凍する事によって、従来の機材・フィルムでもワイド画面の撮影・上映が可能! ただ、撮影時、大光量が必要になり、映像のピントが甘くなるという弱点も。


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日本一のホラ吹き男」(1964年)より抜粋

で、ともかくワイド化をはたした東宝は、誇らしげに「TOHOSCOPE」のロゴの入った「東宝マーク」を作ったワケわけなんだけど、(ちなみに円谷英二製作!)それがこのサイトのロゴのデザインにもなっているこのま「東宝マーク」なのだ。それ以降。映画のワイド化は急速に進み60年代にはほぼ一般化する。で、細かいバージョンアップはあるもののこの「TOHOSCOPE入り」は、64年製作の作品まで使用され。65年から「TOHOSCOPE無し」に変更されてしまった。

ま、それ以降も「東宝スコープ」であった事には変わらないのだが、ワイドスクリーンが一般化してしまったその時代には、いまさらそれを強調するのも大人気ないという感覚だったのか、昔はテレビもカラー放送には「カラー」と入っていたのが、カラー放送が一般化してからなくなってしまったのと同じ理屈だろう。

「TOHOSCOPE」無しの「東宝スコープ」
「大冒険」(1965年)のバージョン

余談にはなるが、こんな映画のワイド化の動きをテレビもただ指をくわえて見ていたワケではない。ワイド化の動きはかなり早い段階からあったようである。その証拠といってはなんだけど1965年の「怪獣大戦争」の「世界教育社に久保明が訪ねてゆく」のシーンの中に、「シネスコテレビ」のポスターが画面の隅に出てきます。これが後々ワイドテレビにつながっていったのかと思うと、なんだか感無量ですな。閑話休題。(画像は近々にアップします。理由は…笑)

…で、ともかく、私にとってこの「TOHOSCOPE入り」の「東宝マーク」は日本映画の黄金時代の象徴であり、「TOHOSCOPE入り」の「東宝マーク」をみるとドキドキワクワクの予感を感じさせるお約束のようなものなのだ。まぁ、そんなことからこのサイトのタイトルも「トーホースコープ・ドットコム」とさせていただいたワケでもある。

ただ「ドットコム」って、正直どうなの?「ドットコム企業」が次々と消滅、または改名している昨今。「ダサくないか?」とも思い「トーホースコープ・マニアックス」とかも考えていたのだが、ま、ドメイン取っちゃったし、覚えやすいからいいか、と思った次第であるので、「いまさらドットコムかよ!ダサイなぁ〜こいつ」と思った方にはご容赦願いたい(笑)。


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