はじめに / Introduction

カニ類は世界中で7,000種弱が知られており(Ng et al., 2008 ; De Grave et al., 2009)、そのうち日本には約1,000種が生息しています(酒井, 1980 ; 武田, 1992b)。

大きさはほとんどの種が数cm程度ですが、大きなものでは脚を広げると3mにもなるタカアシガニや、甲幅60cm、重さ10Kgのオーストラリアオオガニがおり、小さいものでは、甲幅2mmのヤワラガニ科の一種が知られています(武田, 1995))。

水深4,000mの深海から標高4,000mのヒマラヤ山中まで様々な環境に生息し、習性や形態も多様です。海に生息する種が大半ですが、一生を淡水域ですごすサワガニ類も世界中に1300種以上います(De Grave et al., 2009)。

現在、カニ類の起源は中生代ジュラ紀初期のコウナガカムリ類(Superfamily Homolodromioidea Alcock, 1900)から始まり、ジュラ紀中期にかけて2上科といくつかの科に別れ、ジュラ紀後期に他の多くのグループに分かれた、と考えられています。(Schweitzer & Feldmann, 2010)。

分類学上は短尾下目(Infraorder Brachyura)となっており階層は以下のとおりです(Martin & Davis, 2001)。

カニ類が属する十脚目(Order Decapoda)は甲殻類全体から見ると限られた一分類群ですが、最も甲殻類らしい分類群でカニ類の他にはエビ類、ヤドカリ類を含みます。

エビ類、ヤドカリ類、カニ類は基本的に体の構造は同じで、腹部(尾部)の形態で分けて考えることができます。エビ類の腹部は長く伸びて筋肉も発達していますが、ヤドカリ類は腹部が退化してきて左右非対称に歪んできています。カニ類は退化がさらに進み完全に胸側に折り畳まれるようになっています。腹部の退化と並行して歩脚が発達し、「歩く」という行為はカニ類が最も得意です。

ちなみに、スーパー等でおなじみのタラバガニはカニ類ではなくヤドカリ類で、分類上は短尾下目ではなく異尾下目(Infraorder Anomura)に属します。短尾下目に属するカニ類をタラバガニ類と区別する意味で真正カニ類と呼ぶこともあります。

本サイトは基本的にカニ図鑑ですが、カニ類の魅力を多くの人に紹介するために、実際に生息している場所で撮影した生態写真を用いることを原則としています。また、対象を真正カニ類に限定しました。

属までの分類体系は、De Grave et al., 2009に、学名は、Ng et al., 2008に従っていますが、その後の修正も極力取り入れています。また、亜属は省略しました。

同定については万全を期したつもりですが、間違いがあるかもしれません。気がついたことがあればメールなどいただけるとありがたいです。